スキップしてメイン コンテンツに移動

アメリカ人事 | 2024年、給与の透明性の現状とその主要な調査結果について

 アメリカ人事 | 2024年、給与の透明性の現状とその主要な調査結果について

アメリカ人事 賃金透明 アメリカ人事 賃金透明

2024年現在、給与の透明性に対する関心が高まりを見せている。これまで多くの労働者にとって給与の振り込みが完了すればそれで終わりであったが、近年の給与の透明性を求める動きは、従来の労働文化に挑戦し、給与格差の解消を目指す新たな潮流を生んでいる。現在、10の州が給与透明性に関する法律を導入し、他の地域でも導入を検討中であり、この動きは今後も続くことが予想される。以下は、最新の調査結果から明らかになった主要なポイントである。

まず、回答者の約半数が給与の透明性を高めることで従業員にメリットがあると考えていることがわかった。しかし、世代間の意識には大きな隔たりが見られる。18歳から27歳の53.42%が給与の透明性を高めることが有益であると考えているのに対し、60歳から78歳では38.89%に留まる。さらに、給与を公開することに対する抵抗感にも世代間で差があり、18歳から27歳の82.61%が自分の給与を他人に公開することに抵抗がないのに対し、60歳から78歳では33.33%に過ぎない。

また、組織の上層部における情報の格差も浮き彫りになっており、わずか25%の回答者が自分の上司の給与を知っていると回答した。さらに、45%の管理職は、自分が管理する従業員に給与を知られることに不快感を抱くと答えている。

他方で、自分が同僚よりも多くの給与を受け取っていると知った場合に罪悪感を抱くアメリカ人は5人に1人以下であり、約30%は同僚の方が高い給与を受け取っていると知った場合に昇給を求める意向があると答えている。

給与の透明性に対する世代間ギャップ

調査によれば、全体の57.02%が他人と給与情報を共有することに抵抗がないと答えているが、この割合は世代によって異なる。18歳から27歳では82.61%が給与情報の共有に抵抗がないが、28歳から43歳では60.40%、44歳から59歳では42.28%、60歳から78歳では33.33%に減少する。これは、給与に対するオープンな姿勢が年々変化していることを示している。

さらに、18歳から27歳の4分の3は、企業が全従業員の給与情報を社内で公開する法的義務があるべきだと考えているのに対し、44歳から59歳では44.14%、60歳から78歳では41.67%と少数派である。同時に、Z世代の管理職の74.07%は、自分の給与を部下に知られても問題ないと考えているが、60歳から78歳の44.23%も同様に感じている。

このような結果は、それぞれの世代が異なる経済的・社会的環境で育ってきたことを考えると驚くべきことではない。例えば、SNSの利用は若年層に偏るが、2023年時点でSNSを利用しているのはZ世代が5640万人、X世代が5180万人と大きな差はない。調査によると、18歳から27歳の75.16%が「いくら稼いでいるか」を質問されるSNSコンテンツを見たことがある一方で、X世代では31.17%にとどまり、給与透明性が若年層でより頻繁に議論されるトピックであることを示している。全世代の83.27%が、この種のコンテンツが給与の透明性に役立つと考えている。

出所:
https://www.usatoday.com/money/blueprint/business/hr-payroll/salary-transparency/

コメント

このブログの人気の投稿

アメリカ人事 | サウスウエスト航空、401(k)ファンドの「壊滅的」な運用成績を理由に訴えられる

  アメリカ人事 | サウスウエスト航空、401(k)ファンドの「壊滅的」な運用成績を理由に訴えられる クラスアクション訴訟は6万人のプラン参加者を代表して提起され、同航空会社が15年間にわたり「慢性的に低迷している」大型株ファンドを401(k)プランの資産として2,000億ドル以上保有し続け、現在もなおその状況を放置していると主張している。 リン・キャバノー | 2025年1月30日 午前10:15 サウスウエスト航空の飛行機。写真提供: Diego M. Radzinschi/ALM 2024年に複数の大規模な**従業員退職所得保障法(ERISA) 関連のクラスアクション訴訟が和解に至った流れを受け、サウスウエスト航空は新たなクラスアクション訴訟を提起された。この訴訟では、同社がERISAに基づく基本的な受託者責任に違反し、15年間にわたり同社の 退職貯蓄プラン(Retirement Savings Plan)**を適切に運用しなかったとして、受託者責任違反があったと主張されている。 この訴訟は、 サンフォード・ハイスラー・シャープ・マクナイト法律事務所 が原告を代表して、 テキサス州北部地区連邦地方裁判所 に提起したものだと、同法律事務所が昨日発表した。 2024年12月、サンフォード・ハイスラー法律事務所は、 ユナイテッドヘルス に対する401(k)ファンドの「低パフォーマンス」を巡る数年に及ぶクラスアクション訴訟において、記録的な 6,900万ドル の和解の仮承認を申請した。さらに2023年には、 ゼネラル・エレクトリック(GE)に対する長期にわたるERISAクラスアクションで6,100万ドル の和解の最終承認を獲得している。 同法律事務所によると、これらの和解金額は、401(k)プランにおける低パフォーマンスの投資オプションに起因するERISA訴訟としては過去最大規模とみられている。 ▼出所 https://www.benefitspro.com/2025/01/30/southwest-airlines-sued-by-plan-participants-over-disastrous-performance-of-its-401k-funds/?kw=Southwest%20Airlines%20sued%20by%20plan%20part...

【アメリカ人事】「それは私の仕事ではありません!」

 【アメリカ人事】「それは私の仕事ではありません!」 「それは私の仕事ではありません!」 怠け者たちをシャットアウトする方法   従業員の中には、雇用主が通常の職務の範囲を逸脱しているように見える仕事を指示されると憤慨する人もいます。 しかし、これらの従業員の考えに反して、職務内容に記載されていないタスクを従業員に割り当てることは何も違法ではありません。 第10巡回控訴院はまさにそう述べています。   管理者が「それは私の仕事ではない」という大合唱を聞かされることのないように、職務記述書に記載されている職務がすべてではないことを従業員に早い段階で頻繁に説明してください。 職務記述書自体に「職務記述書に記載されている職務がすべてではない」という文言を含めます。 最も簡単な方法は、職務内容の最後の箇条書きに「割り当てられたその他の職務」という文言を含めることです。   あるいは、さらに一歩進んで次のように記載することが考えられます。   「この職務記述書は、ここにリストされている職務だけが従業員に求められる唯一の職務であることを意味するものでは決してありません。 従業員は、上司の指示に従って他の業務や職務を遂行し、あるいは新しい仕事を行うための研修に参加することが期待されています。」   従業員が他の職務の遂行に抵抗し、仕事が回らなくなってしまった場合は、段階的懲戒を行うべきでしょう。 期限を設け、フォローアップのミーティングを実施します。 従業員が引き続き非協力的な場合は、警告を発し、その後停職、その後解雇という段階的懲戒を検討する必要があります。 追加の職務の遂行を拒否した従業員を懲戒しなければならない場合は、一貫性が重要です。 そのような従業員はすべて同じように扱います。 彼らの違反行為と会社が課した期待を文書化しておくことが重要です。   ============================================================   ▼【アメリカ人事】ChatGPTはジョブディスクリプションが書けるのか? https://lp.constantcontactpages.com/su/1GPKz6e/kindle ▼LINE公式はこちらから   h...

アメリカ人事【在米日系企業向け】マッキンゼー調査に学ぶ、出社と柔軟な働き方の最適バランス

 アメリカ人事【在米日系企業向け】マッキンゼー調査に学ぶ、出社と柔軟な働き方の最適バランス ~RTO率安定後も問われる「働き方戦略」~ 2025年5月、マッキンゼー社は全米の労働者を対象とした「American Opportunity Survey」に基づく最新レポートを発表した。それによれば、パンデミックを契機に広がったリモートワークやハイブリッド勤務は、いまや一過性ではなく「定着した常識(entrenched norm)」であるという。   本記事では、この調査結果をふまえ、在米日系企業が人材確保と定着率向上のために今すぐ取り組むべき3つのアクションを考えてみよう。   アクション①:従業員の希望と働き方モデルのズレを「見える化」 マッキンゼーの調査では、労働者の過半数がリモート勤務を希望しており、企業側の希望と一致しているのは全体のわずか40%であることが示された。つまり、多くの企業では、従業員の希望と実際の働き方に乖離がある。   在米日系企業でも、「日本本社の意向」や「現地マネージャーの感覚」に基づいて出社を義務化しているケースが見られる。しかしその判断が、実は優秀な人材の流出やモチベーション低下を招いている可能性がある。まずは従業員アンケートや1on1面談を通じて、働き方に関する“温度差”を可視化することが考えられる。   アクション②:「全員出社」でも「全員リモート」でもない、役割別設計導入 報告書では、出社率が2022年の53%から2024年には58%に増加している一方、「オフィス出社はパンデミック前より平均30%減少」しているという。注目すべきは、フルリモートよりも「ハイブリッド勤務」が最も好まれているという点である。   全社的に「毎日出社」か「完全リモート」かの二者択一にするのではなく、業種・役割・業務特性に応じた柔軟な設計が必要である。たとえば、販売や製造現場は対面が必須だが、経理・人事・マーケティングの一部業務はハイブリッドで運用可能である。在米日系企業においても、日本的な「全員一律」を脱却し、ジョブ型運用を強化する転換期が到来している。   アクション③:「柔軟性」を制度化し、リテンション施策として活用 レポートでは、過去1年以内に離職した人のうち17%が「勤務形態の変更...