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3月, 2026の投稿を表示しています

アメリカ人事|Metaの168人レイオフ 5/8は60日前を切っているが合法か?

   アメリカ人事|Metaの168人レイオフ 5/8は60日前を切っているが合法か? ワシントン州雇用セキュリティ局(ESD)が公開した最新のWARN通知データにより、Meta(旧Facebook)がシアトル、ベルビュー、レドモンド周辺およびリモートワーカーを含む計168名のレイオフを予定していることが判明した。 ここで注目すべきは、その「日付」である。通知上の解雇開始予定日は 2026年5月8日 。本日(3月31日)から計算すると、解雇まで わずか38日 しかない。連邦法およびワシントン州法が定める「60日前の告知義務」に抵触しているように見えるが、これは果たして違法なのだろうか。 ▼ワシントン州のWARN告知ページ https://esd.wa.gov/employer-requirements/layoffs-and-employee-notifications/worker-adjustment-and-retraining-notification-warn-layoff-and-closure-database?utm_medium=email&utm_source=govdelivery 結論から言えば、多くの場合、これはアメリカの人事戦略における「法的スキーム」によって適法に処理されている。 1. 「解雇日」と「最終給与日」の乖離 WARN法における「告知」とは、単に情報を伝えることだけを指すのではない。重要なのは「解雇(Separation)」が発生する60日前まで、従業員に給与と福利厚生を保証することである。 Metaのような大手テック企業がよく用いる手法が、ガーデニング休暇(Gardening Leave)だ。 実務上の措置: 通知日(本日)をもってシステムアクセスを遮断し、業務から外す。 法的な雇用関係: 5月8日を「物理的な離職日」としつつも、書類上の「雇用終了日」を60日後(5月末以降)に設定する。 この期間、従業員は「仕事はしていないが、給与は支払われている」状態となる。これにより、企業はセキュリティリスクを排除しつつ、WARN法の60日ルールを形式上クリアするのである。 2. 「告知に代わる給与支払い(Pay in Lieu of Notice)」 もし5月8日に完全に雇用関係を終了させるスケジュールで...

アメリカ人事|AIによる採用差別訴訟の最前線

  アメリカ人事|AIによる採用差別訴訟の最前線 Workday v. Mobley — 年齢差別禁止法(ADEA: Age Discrimination in Employment Act)請求で一部敗訴、HRテクノロジーの転換点 HR Consultant|山口憲和 Norikazu Yamaguchi, SHRM-SCP, MBA Philosophy, LLC| ■ サマリー 2026年3月7日、カリフォルニア北部連邦地方裁判所(U.S. District Court for the Northern District of California)は、 Mobley v. Workday, Inc. というAI採用ツールに関する重要な訴訟で判断を示した。 Workdayは、企業向けの採用管理システム(Applicant Tracking System)およびAI採用スクリーニングツールを提供する世界最大級のHRテクノロジー企業である。 今回の裁判では、Workdayが提出した 「この訴訟は法的に成立しないため、裁判の初期段階で却下してほしい」 という申立て(Motion to Dismiss)について、 ・一部は認め ・一部は認めない という判断が下された。 特に重要なのは、 年齢差別禁止法(ADEA: Age Discrimination in Employment Act)が求職者にも適用される可能性 を裁判所が認めた点である。 AIを利用した採用プロセスが急速に広がる中、この裁判は AI採用ツールの法的責任を巡る転換点となる可能性があるケース として大きな注目を集めている。 ■ 事件の概要 本件の原告は Derek Mobley氏 である。 Mobley氏は、自身が ・Workdayの採用システムを使用している ・100社以上の企業 に応募したものの、 すべて不採用になった と主張している。 そして、その原因は AIによる採用スクリーニングが年齢差別を生んでいるためではないか として訴訟を提起した。 訴訟では、以下の連邦法違反が主張されている。 ・年齢差別禁止法(ADEA: Age Discrimination in Employment Act) ・公民権法第7編(Title VII: Civil Rights Act of 1964, ...

アメリカ人事 | 2300万ドルの代償――Kronos障害が突きつけた「有事の給与管理」の盲点

  アメリカ人事 | 2300万ドルの代償――Kronos障害が突きつけた「有事の給与管理」の盲点 2021年末、ランサムウェア攻撃によって勤怠管理システム「Kronos(UKG)」が突如オフラインになった。その影響は全米の企業に波及し、数週間にわたって多くの人事チームが手動での給与計算を迫られた。 そして今、その余波がまだ続いている。 Hondaは先日、この障害に起因する賃金・労働時間法違反の訴訟において、 230万ドル(約3億4000万円)の和解 に合意した(2026年3月4日付・裁判所提出書類より)。 訴訟の骨子はシンプルだ。 「システムが止まったとき、Hondaは実働時間を計測せず、推定値で給与を処理した。その結果、公正労働基準法(FLSA)上の残業代が適切に支払われなかった」 和解対象となる従業員は最大で 約1万61人 に上り、複数の訴訟が一括で処理される見込みである。Hondaは訴訟の一部却下を求めたが、「残業未払いへの対応が過度に遅延したか否か」という争点については、裁判所が審理継続を認めた。 同社は「従業員への正確かつ適時の給与支払いに引き続きコミットしており、この問題に決着をつけられることを喜ばしく思う」とコメントしている。 この事案が人事に問いかけるもの Kronos障害で訴訟を起こされたのはHondaだけではない。Frito-LayやニューヨークMTAなど、名だたる組織が同様の問題に直面した。 共通する教訓は何か。 勤怠システムが止まったとき、どう給与を処理するか ――バックアップ手順を文書化しているか 推定払いは法的リスクを伴う ――FLSAは「推定」を免責しない 対応の遅延そのものが違反になりうる ――未払いの残業代をいつまでに精算するか、明確なルールがあるか システム障害は「ITの問題」ではない。 それは人事と法務が連携して備えるべき、賃金コンプライアンスのリスクシナリオ である。 あなたの組織のBCP(事業継続計画)に、給与計算の緊急対応プロセスは含まれているだろうか。 参考:HR Dive, March 2026 https://www.hrdive.com/news/honda-agrees-to-23-million-dollar-settlement-kronos-outage-lawsuits/814177/?u...

アメリカ人事 | マネージャーは「なぜ昇給が3%なのか」に答えられるか?

  アメリカ人事 | マネージャーは「なぜ昇給が3%なのか」に答えられるか? 人事・報酬チームがメリット昇給を設計する際、見落としがちな重要な工程がある。それは、 実際に社員へ伝えるマネージャーへのトレーニング だ。 Salary.comの報酬戦略責任者Sean Luitjens氏は、こう指摘する。 人事が「3%の昇給」と伝えた瞬間、 ほぼ全員が「自分は3%より高いはずだ」と思う。 誰もが自分を平均以上だと考えているからだ。 では、マネージャーはどう対応すべきか。 ❶「なぜ3%なのか」 昇給が個人的な評価だけで決まるわけではないことを、データで示す必要がある。予算の制約、市場動向、ペイ・フォー・パフォーマンスの仕組みを説明できる 1枚の会社報酬哲学シート が有効だ。特に重要なのは、 経営層のメッセージとの一貫性 。「成果に応じて報酬を払う」と言いながら、実態が職位・レンジ基準だとすれば、その矛盾はマネージャーに押しつけられることになる。 ❷「どうやって決めたのか」 市場ポジションや社内の給与レンジ・平均値といった 外部・内部データの両方 を示すことで、「個人攻撃ではない」という安心感を与えられる。データなき説明は、憶測と不信を生む。 ❸「来年どうすれば上がるのか」 昇給額が小さかった社員ほど、この問いへの答えが重要だ。防衛的な感情を和らげるには、 未来志向の育成計画への転換 が効果的である。人事側がマネージャーに明確な「育成プロンプト」を用意することで、会話をポジティブな方向に導けるという。 人事の仕事は、制度を設計して終わりではない。 マネージャーが現場で語れる言葉を渡すこと まで含めて、初めて報酬設計は機能する。 あなたの会社では、マネージャーへの昇給コミュニケーション研修は行われているだろうか。 参考:HR Dive, March 2026 https://www.hrdive.com/news/how-to-train-managers-for-pay-questions/814554/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202026-03-12%20Compensation%20%26%20Benefits%20Weekly%20%5Bissue...

アメリカ人事|Targetがクラスアクションを阻止できた理由

  アメリカ人事|Targetがクラスアクションを阻止できた理由 ― カリフォルニア Wage訴訟で企業が勝つための「証拠」の重要性 ― 近年、カリフォルニア州では Wage & Hour(賃金・労働時間)訴訟 が非常に増えています。 特に飲食業、小売業、物流業では Meal Break Rest Break Off-the-clock Expense reimbursement などを理由とする 集団訴訟(Class Action)やPAGA訴訟 が頻繁に提起されています。 その中で最近、米国小売大手 Target が クラスアクションの認定(Class Certification)を阻止することに成功した 判決が出ました。 この判決は、企業側の防御戦略として非常に参考になるものです。 出所 https://www.cdflaborlaw.com/blog/targets-defeat-of-class-certification-emphasizes-the-role-of-proof 1 事件の概要 この事件は Montgomery, et al. v. Target Corp. として、 カリフォルニア州の連邦裁判所 (U.S. District Court for the Central District of California) で争われました。 従業員側は、Targetに対して次のような労働法違反を主張しました。 主な主張は次の通りです。 ・Meal Break Premium が正しい時給で払われていない ・マネージャーがタイムカードを修正して違反を隠した ・休憩時間は店内にいることを強制された ・商品検索のために私用携帯を使わされた(費用補償なし) ・繁忙期に meal break で clock out させられたのに働かされた ・出勤前に店の前で待たされた時間が無給 このような主張に基づき、 原告は 8種類のクラス(集団) の認定を求めました。 しかし裁判所は すべてのクラス認定を却下 しました。 ( Bloomberg Law ) 2 クラスアクションが成立する条件 アメリカの連邦裁判所でクラスアクションを成立させるには Federal Rule of Civil Procedure 23(FRCP Rule 23) ...

アメリカ人事| 2026年、米国HRに求められる二大スキル:AIリテラシーとチェンジマネジメント

  アメリカ人事 | 2026 年、米国 HR に求められる二大スキル: AI リテラシーとチェンジマネジメント 「訴訟リスクを未然に防ぐ。アメリカ人事®︎の実務パートナー」のPhilosophy, LLCです。 最新のLinkedInレポート(2026年2月24日公開)によると、現在アメリカの人事プロフェッショナルたちの間で、習得スピードが最も加速しているスキルが明らかになりました。 「労働法・コンプライアンス」が不動の 1 位 驚くべきことに、デジタル化が進む現代においても、HRスキルで最も成長率が高いのは依然として「Employment Law and Compliance(労働法とコンプライアンス)」です。 カリフォルニア州をはじめとする米国各州では、給与透明性法(Pay Transparency)や有給病欠休暇の拡充など、雇用規制が年々複雑化しています。 実務のヒント: 大手法律事務所 Littler Mendelson の報告によれば、AI導入に伴うプライバシー規制や、リモートワーク下での労働時間管理に関する訴訟リスクが増大しています。 出典:Littler Mendelson, "Annual Report on Labor Law Trends" URL: https://www.littler.com/ 急浮上する「 AI リテラシー」 ランキングの第2位に躍り出たのが「AI Literacy(AIリテラシー)」です。これは単にChatGPTを使えるということではなく、採用、評価、労務管理においていかに効率的にAIを組み込み、かつ倫理的なバイアスを排除できるかという能力を指します。 数値で見る動向: LinkedInのデータでは、AIエンジニアリングと実装が全職種を通じてスキル習得数1位となっており、HR職においてもAIを「使いこなせる」ことが採用の合否を分ける決定的な要素になっています。 「人間中心」のチェンジマネジメント LinkedInのチーフ・ピープル・オフィサー、Teuila Hanson氏はこう述べています。 「AIの実装、チームの再編、働き方の変革――そのどれもが、 『人』を置き去りにしては成功しません。 」 ここで重要になるのが「Change Management(チェンジマネジメント)」です。新しいテクノロ...