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アメリカ人事|Targetがクラスアクションを阻止できた理由

  アメリカ人事|Targetがクラスアクションを阻止できた理由 ― カリフォルニア Wage訴訟で企業が勝つための「証拠」の重要性 ― 近年、カリフォルニア州では Wage & Hour(賃金・労働時間)訴訟 が非常に増えています。 特に飲食業、小売業、物流業では Meal Break Rest Break Off-the-clock Expense reimbursement などを理由とする 集団訴訟(Class Action)やPAGA訴訟 が頻繁に提起されています。 その中で最近、米国小売大手 Target が クラスアクションの認定(Class Certification)を阻止することに成功した 判決が出ました。 この判決は、企業側の防御戦略として非常に参考になるものです。 出所 https://www.cdflaborlaw.com/blog/targets-defeat-of-class-certification-emphasizes-the-role-of-proof 1 事件の概要 この事件は Montgomery, et al. v. Target Corp. として、 カリフォルニア州の連邦裁判所 (U.S. District Court for the Central District of California) で争われました。 従業員側は、Targetに対して次のような労働法違反を主張しました。 主な主張は次の通りです。 ・Meal Break Premium が正しい時給で払われていない ・マネージャーがタイムカードを修正して違反を隠した ・休憩時間は店内にいることを強制された ・商品検索のために私用携帯を使わされた(費用補償なし) ・繁忙期に meal break で clock out させられたのに働かされた ・出勤前に店の前で待たされた時間が無給 このような主張に基づき、 原告は 8種類のクラス(集団) の認定を求めました。 しかし裁判所は すべてのクラス認定を却下 しました。 ( Bloomberg Law ) 2 クラスアクションが成立する条件 アメリカの連邦裁判所でクラスアクションを成立させるには Federal Rule of Civil Procedure 23(FRCP Rule 23) ...
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アメリカ人事| 2026年、米国HRに求められる二大スキル:AIリテラシーとチェンジマネジメント

  アメリカ人事 | 2026 年、米国 HR に求められる二大スキル: AI リテラシーとチェンジマネジメント 「訴訟リスクを未然に防ぐ。アメリカ人事®︎の実務パートナー」のPhilosophy, LLCです。 最新のLinkedInレポート(2026年2月24日公開)によると、現在アメリカの人事プロフェッショナルたちの間で、習得スピードが最も加速しているスキルが明らかになりました。 「労働法・コンプライアンス」が不動の 1 位 驚くべきことに、デジタル化が進む現代においても、HRスキルで最も成長率が高いのは依然として「Employment Law and Compliance(労働法とコンプライアンス)」です。 カリフォルニア州をはじめとする米国各州では、給与透明性法(Pay Transparency)や有給病欠休暇の拡充など、雇用規制が年々複雑化しています。 実務のヒント: 大手法律事務所 Littler Mendelson の報告によれば、AI導入に伴うプライバシー規制や、リモートワーク下での労働時間管理に関する訴訟リスクが増大しています。 出典:Littler Mendelson, "Annual Report on Labor Law Trends" URL: https://www.littler.com/ 急浮上する「 AI リテラシー」 ランキングの第2位に躍り出たのが「AI Literacy(AIリテラシー)」です。これは単にChatGPTを使えるということではなく、採用、評価、労務管理においていかに効率的にAIを組み込み、かつ倫理的なバイアスを排除できるかという能力を指します。 数値で見る動向: LinkedInのデータでは、AIエンジニアリングと実装が全職種を通じてスキル習得数1位となっており、HR職においてもAIを「使いこなせる」ことが採用の合否を分ける決定的な要素になっています。 「人間中心」のチェンジマネジメント LinkedInのチーフ・ピープル・オフィサー、Teuila Hanson氏はこう述べています。 「AIの実装、チームの再編、働き方の変革――そのどれもが、 『人』を置き去りにしては成功しません。 」 ここで重要になるのが「Change Management(チェンジマネジメント)」です。新しいテクノロ...

アメリカ人事|支払った関税は返金されるのか?米国連邦最高裁判決

  アメリカ人事|支払った完成は返金されるのか?米国連邦最高裁判決 「 IEEPA は関税権限を与えず」 — HR ・経営者が知るべき実務影響 2026年2月20日 | 米国人事・法務アップデート 判決の概要 2026年2月20日、米国連邦最高裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA: International Emergency Economic Powers Act)を根拠として発動された包括的関税措置について、6対3の多数意見により重要な判断を示した。 最高裁は、 IEEPA は大統領に関税を課す権限を付与していない と判断し、同法を根拠として導入された広範な関税措置は権限の範囲を超えるものとして無効であると結論付けた。 ここで重要なのは、本判決は「関税制度そのもの」を否定したものではないという点である。本件はあくまで、関税発動の 法的根拠と権限分配 に関する憲法問題である。 最高裁が判断した核心 本判決の法的ポイントは以下の三点に整理できる。 ① IEEPA は関税賦課権限を含まない IEEPAは国家安全保障上の緊急事態に対応するため、大統領に一定の経済的制裁権限を与える法律である。しかし最高裁は、同法の文言および立法趣旨を検討した結果、関税を課す権限まで含むとは解釈できないと明確に示した。 ② 関税(実質的には課税)は議会の専権事項である 米国憲法第1条により、課税権限は原則として議会(Congress)に帰属する。広範な経済的影響を持つ関税を行政権のみで創設することは、権力分立原則に反すると判断された。 ③ 行政権限の逸脱( Ultra Vires ) 緊急権限を用いた包括的関税措置は、大統領に委任された権限の範囲を超える行為であり、行政権の逸脱に該当するとされた。 誤解されやすい重要ポイント 本判決については報道上の表現により誤解が生じやすいため、以下を明確にしておく必要がある。 ■ 関税そのものが違法になったわけではない 今回無効とされたのは、 IEEPA を根拠とした関税措置のみ である。 したがって、以下の関税制度は本判決の直接の対象ではない。 通商拡大法232条(鉄鋼・アルミニウム等) 通商法301条(対中関税など) その他、議会が明示的に権限を委任した制度 企業は関税の有効性を判断する際、 どの法律を根拠としているか を個別に...

アメリカ人事 | NIKEに調査。EEOCの”アメリカ人ファースト的”摘発に注意

 アメリカ人事 | NIKEに調査。EEOCの”アメリカ人ファースト的”摘発に注意 40才未満の男性の白人以外は保護されるグループだ、と言われていたのはトランプ政権以前の話、と言っても過言ではない。 米国の雇用法執行機関であるEEOC(米国雇用機会均等委員会)の enforcement(法執行)姿勢が、これまでとは明らかに異なる局面を迎えている。2026年2月、EEOCが スポーツ用品大手NIKEに対して調査協力を強制するための裁判所申立て を行ったことが大きな話題となっている。これは単なるNIKE個別の事案ではなく、 人種・国籍に関わるDEI(多様性・公平性・包含)の進め方が米国で法的リスクと直結する新しいフェーズに入った ことを意味している。 https://www.eeoc.gov/newsroom/eeoc-files-subpoena-enforcement-action-against-nike また、2025年には グアムのホテルリゾート運営会社が日系従業員優遇・米国人差別を巡ってEEOCに約140万ドルの和解金を支払った事例 もあり、タイトルVII(公民権法第7編)における国籍差別(national origin discrimination)の執行が強まっていることが伺える。 https://www.eeoc.gov/newsroom/leopalace-resort-pay-over-14-million-eeoc-national-origin-discrimination-lawsuit ⸻ 1. NIKE調査 ― EEOCが調査協力の強制執行を申請 2026年2月4日、EEOCはNIKEに対し、 調査に対して十分な協力が得られていない として、連邦裁判所に召喚状強制執行(subpoena enforcement)を申し立てた。これはEEOCがNIKEのDEI関連の採用・昇進・プログラム情報について法的に情報提出を求めていることを意味している。    •   EEOCは、NIKEが設定していた数値目標や人材育成プログラムが、結果として 特定人種の機会を優遇し、他の人々の機会を阻害している可能性 があると見ている。    • ...

アメリカ人事 | 第311号| 2月1日〆切り Know Your Rightsは全従業員へ通知下さい。

  アメリカ人事 | 第311 号 | 2月1日〆切り Know Your Rightsは全従業員へ通知下さい。 第310号【アメリカ人事】月刊フィロソフィ ニュースレターをお届け致します。 ※このニュースレターは送信専用です。 お返事は下記メールアドレスまでお願い申し上げます。 山口憲和 yamaguchi@yourphilosohy.net ■今月のトピックは? 【カリフォルニア州】2026年2月1日までに全従業員に通知義務のあるKnow Your Rightsは既に通知済みですか? ▼下記リンクはカリフォルニア州が発行した通知テンプレートです。 https://acrobat.adobe.com/id/urn:aaid:sc:US:1f86098e-295a-46da-b939-2cafeea38aac ▼Know Your Rightsについては下記のリンクをご覧下さい https://philosophyllc.com/news/%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e4%ba%ba%e4%ba%8b-2%e6%9c%881%e6%97%a5%e3%80%86%e5%88%87%e3%82%8a-know-your-rights%e3%81%af%e5%85%a8%e5%be%93%e6%a5%ad%e5%93%a1%e3%81%b8%e9%80%9a%e7%9f%a5/     【全米】OSHA 300Aの掲示期間は2/1から4/30の3ヶ月間です。御社が対象になるか否かは下記のリンクから御確認いただけると幸甚です。 [ 重要 ] Cal/OSHA 300A: 記録・掲示および電子報告に関するガイドライン(添付資料あり 下記リンクからご覧下さい) https://polar-canvas-b01.notion.site/OSHA-300A-2f617087036280ecaae4c3f9751fe285   ▼動画で皆様のお困りごとを解説中 https://www.youtube.com/@americaHR?sub_confirmation=1   【ドンブリ経営でお悩みの方へ】 ▼ナーミーマネジメント社の脱ドンブリ経営セミナーを アメリカ在住者向けに実施可能です。...

アメリカ人事| HRが自ら訴訟リスクを高めないために

  アメリカ人事 | HR が自ら訴訟リスクを高めないために ― HR DIVE掲載事例から学ぶ、人事部が取るべき3つのアクション ― 近年、アメリカ企業における人事部(HR)の役割は、「会社を守る存在」から「自らが法的リスクの震源地になり得る存在」へと厳しく見られるようになっている。 HR DIVEが2026年1月に報じた、Citigroup元マネージング・ディレクターによる訴訟事例は、その象徴的なケースである。 本件では、人事部がハラスメント被害者を守るどころか、 一方的で偏った調査を主導し、結果として建設的解雇( constructive discharge )に追い込んだ と主張されている。 この事例から、アメリカ人事が今すぐ取るべきアクションは明確である。 以下、実務上特に重要な3点を整理する。 アクション ① 「調査の公平性」を “ 姿勢 ” ではなく “ プロセス ” として設計せよ 従業員調査において最も重要なのは、「公平に調査しているつもり」であることではない。 第三者から見ても公平に見えるプロセス を構築しているかどうかである。 本件では、人事部が以下のような対応を取ったとされている。 男性社員には容認されていた行動を、女性社員にのみ「bullying」として問題視 被調査者が提出した証人リストに一切連絡しない 一方当事者のみを調査対象とし、相手方は調査しない これらはすべて、「結論ありき」「先入観による調査」と評価されやすい典型例である。 人事部は以下を制度として明文化すべきである。 調査対象者・比較対象者の選定基準 証人ヒアリングを必須とするルール 反論・補足説明の機会を必ず付与する手順 調査の中立性は、善意ではなく 設計で担保されるべきものである。 アクション ② HR は「経営の代理人」ではなく「手続の管理者」であれ アメリカ人事において最も危険なのは、HRが経営陣の意向を“忖度”し、調査をコントロールしてしまうことである。 本件では、人事が以下のような姿勢を取ったと主張されている。 取調べに近い2時間の尋問 質問が「確認」ではなく「断定」を前提とした形式 調査開始時点で結論が決まっている印象を与える対応 このような対応は、人事部を「調査機関」ではなく、 会社側の攻撃装置 として位置づけてしまう。 HRの本来の役割は、 事実を整理...

🇺🇸 アメリカ人事|アメリカ企業はアフリカの成長機会にどう向き合うべきか

 🇺🇸 アメリカ人事|アメリカ企業はアフリカの成長機会にどう向き合うべきか ― ビジネス戦略とHRに求められる役割 ― アフリカは今、「将来有望な新興市場」から「グローバル成長の中核」へと移行しつつあります。   2050年には世界人口の4分の1、企業・消費者支出は16兆ドル超。 さらに、若年人口、重要鉱物、自由貿易圏(AfCFTA)という三拍子が揃い、 アメリカ企業にとって無視できない戦略的フロンティアとなっています。   では、アメリカ企業はこの機会にどうアプローチすべきか。 そして HR(人事)には何が期待されるのか。 「アメリカ人事」の視点で整理します。   1.アメリカ企業の基本スタンス   「短期利益」ではなく「制度×人材×現地価値創出」   アフリカ市場における最大の誤解は、 「安い労働力」「原材料供給地」としての短絡的な見方です。   成功する企業に共通するのは、以下の姿勢です。   単なる輸出・調達ではなく、現地での付加価値創出   国単位ではなく、アフリカ大陸市場(AfCFTA)として捉える   政府・教育機関・地域社会との長期パートナーシップ   ESG・人権・ガバナンスを含む制度構築への関与   特に重要鉱物や製造業では、 「採掘→輸出」ではなく 加工・製造・人材育成を現地に残すモデルが求められています。   2.重点分野:アメリカ企業が強みを発揮できる領域   記事で指摘されている通り、米国企業が優位性を持つ分野は明確です。   テクノロジー(AI・FinTech・GovTech)   インフラ(電力・物流・デジタル)   ヘルスケア・医薬品   自動車・製造業   農業・アグリテック   重要鉱物 × クリーンエネルギー   共通点は、「人材×技術×制度」が同時に必要な分野であることです。 つまり、ここでHRの役割が極めて重要になります。   3.HRに期待される役割①   「人を連れていく」から「人を育てる」へ   従来の海外展開では、   本社人材を派遣   現地はオペレーショ...