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アメリカ人事| Uberの自動車保険情勢を受け、ビジネスオーナーが取るべき対策

 アメリカ人事| Uberの自動車保険情勢を受け、ビジネスオーナーが取るべき対策  2025年4月25日のニュースで、Uberが複数州で事業用自動車保険の規制改革を求める廣告キャンペーンを開始したことが伝えられた。 ▼Uber has its eye on commercial auto insurance reform https://www.propertycasualty360.com/2025/04/25/uber-has-its-eye-on-commercial-auto-insurance-reform/?kw=Uber%20has%20its%20eye%20on%20commercial%20auto%20insurance%20reform&utm_source=email&utm_medium=enl&utm_campaign=newsroomupdate&utm_content=20250425&utm_term=pc360&oly_enc_id=1450C8995923H0V&user_id=6f6e182087af8c2ae0626d1092a5495981117adfefb31bd8a0aa1f569406738f   通常の個人車の責任保険は$30,000程度なのに対し、Uberや交通ネットワーク企業(TNC)には$1,000,000という大きな保険要件が設けられることが多い。 これは企業側に大きな財政負担を起こし、結果として事業コストの増加に。 この動きから、他のビジネスオーナーも必要な対策を検討するべき時期に来ていると言える。 【これから注意すべきこと】 1) 自社の保険リスクをチェック さらに保険要件が変わったら実際にどのぐらい財政負担が増えるのか?をシミュレーションしておく。 2) 事業コストに保険費用負担増が影響を与えない組織作り 例えば、自社で車を持たず、委託に切り替えるなど。その際にも「保険の最低要件」を定め、緊縮にチェックする。 3) 価格改定やサービス費課金の説明準備 保険負担増は一部をサービス料に反映せざるを得ない場合もある。その場合は、法律対応によるものであることを明確にし、理解を得る。 4) 州別の保険要件の変更を緊密...
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アメリカ人事|なぜTESLAは儲かっていないのか?

  アメリカ人事|なぜTESLAは儲かっていないのか? 経営者の悩みの75%は「お金」と「人」の問題だと言われている。 アメリカ人事では、ビジョンを達成するための人材戦略と、持続可能なキャッシュフローを両立させることが成功のカギである。 今回は、EV業界の象徴ともいえるTESLA(テスラ)が、なぜ株式市場での存在感に反して「儲かっていない」と言われるのか。その構造的課題に迫る。 【TESLAとはどんな会社か?】 TESLA(テスラ・モーターズ)は2003年創業の電気自動車(EV)メーカーである。CEOイーロン・マスク氏のもと、「世界を持続可能なエネルギーに移行させる」というミッションを掲げてきた。 主力製品はModel 3、Model YなどのEVに加え、ソーラー、蓄電池、AI開発にも事業領域を広げている。 2020年以降のEVブームと株式分割によって、時価総額が一時1兆ドルに達するなど、破格の評価を受けてきた。 【2025年第1四半期の業績ハイライト】 売上高(Revenue): 213億ドル(前年同期比9%減) → 値下げにより販売台数は増加したものの、売上は減少。 粗利益(Gross Profit): 約39億ドル(粗利益率約18.3%) → 昨年同時期の粗利益率は19.3%であり、利益率がさらに低下。 営業利益(Operating Profit): 約11億ドル(営業利益率約5.2%) → 営業利益率は前年同期の11.4%から大幅に減少。 純利益(Net Income): 約11億ドル(純利益率約5.2%) → フリーキャッシュフローは約4.4億ドルで、前年同期の約22億ドルから大きく縮小。 出所: https://www.appeconomyinsights.com/p/tesla-the-great-slump これらの数値からも明らかなように、TESLAの2025年第1四半期は、売上・利益率・キャッシュフローのすべてで苦戦を強いられている。 【TESLAの「儲からない」構造的要因】 ① 利益を犠牲にした価格競争戦略 TESLAは2023年以降、主力車種の大幅な値下げを実施してきた。Model Yは一部市場で30%以上値下げされ、価格競争に拍車がかかっている。 販売台数は維持しているものの、1台あたりの利益が急減しており、粗利益率の低下に直結して...

アメリカ人事 | アメリカの日系企業に問われるDEIの再設計

  アメリカ人事 | アメリカの日系企業に問われるDEIの再設計 ~インド企業の地に足の着いた改革に学ぶ~ アメリカにおけるDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)政策が政治的緊張を帯びる中、日系企業はこれまで以上に戦略的なスタンスを求められている。トランプ大統領が2025年に発した大統領令により、連邦政府関連企業におけるDEI施策の禁止が明文化され、大手企業の間でもDEIプログラムの見直しが相次いでいる。 このような逆風の中で、DEIにどう向き合うべきか。そのヒントは、アメリカではなく、インド企業の変革にこそ見出せる。 インド企業が見せた“目的志向”のDEI 米SHRMが報じたところによれば、インドではここ10年で「チェックリスト型DEI」から「文化として根付いたDEI」へと進化を遂げている。特筆すべきは、女性の復職支援、LGBTQ+や障がい者へのインターン機会提供、宗教や出自を問わない採用方針、そして管理職へのインクルージョン教育など、制度ではなく現場の意識と文化の変革に主眼が置かれている点である。 企業の目的が「良い人材を活かす」ことにある以上、その前提として、多様な人材が安心して能力を発揮できる環境を整えるのは、当然の経営課題である。インド企業は、これを“政治色のない実務”として冷静に取り組んでいる。 出所:SHRM “Indian Companies Make ‘Remarkable Transformation’ with I&D” www.shrm.org/topics-tools/employment-law-compliance/indian-companies-make-remarkable-transformation-with-id 日系企業が取るべき“現実的”DEIの処方箋 アメリカに拠点を持つ日系企業もまた、政治的な配慮を要する環境下で、次のような“実務志向”のDEIへと舵を切るべきである。 1. 「多様性」ではなく「公平性のある機会提供」にフォーカスする 「DEI」というワードを表に出すことなく、スキルベース採用やバイアス除去の仕組みを裏方で機能させることは十分可能である。採用評価シートの見直し、性別や出自に関係ない昇進基準の明確化などは、アメリカでも合法的かつ効果的な対応策である。 2. インクルージョン...

アメリカ人事 | 関税不況時代にレイオフは処方箋か?~Saks Globalが約450名レイオフ~

   アメリカ人事 | 関税不況時代にレイオフは処方箋か?~Saks Globalが約450名レイオフ~ ― Saks Globalの事例から考える、雇用を守る経営戦略 2025年4月、Saks Globalがテネシー州にある物流センターを閉鎖し、約450名をレイオフすると報じられた。このニュースは、単なる一企業の構造改革ではなく、アメリカの百貨店業界全体が直面している経営課題を象徴する出来事として注目に値する。 背景にあるのは、トランプ政権下で再導入された中国からの輸入品に対する関税(タリフ)である。Moody’sの分析によれば、こうした関税措置は百貨店業界の税引前利益(EBIT)を10%押し下げる見通しだとされており、特にSaksやKohl’sといった中価格帯から高価格帯を扱う企業が影響を受けやすいとされている。 しかし、ここで問いたいのは、「レイオフは本当に最善の対策なのか?」という点である。 短期的コスト削減と引き換えに失うもの 確かにレイオフは即時的なコスト削減策であり、財務的な応急処置としては一定の効果を持つ。しかしSaksのようにラグジュアリーブランドとしての顧客体験を重視する企業にとって、従業員は単なる労働力ではない。彼らはブランドの顔であり、接客やスタイリングを通じて顧客と感情的な関係を築く存在である。彼らを一斉に削減することは、ブランドへの信頼喪失やサービスの質の低下を招き、結果的に売上減少につながるリスクがある。 雇用を守る3つの代替案 レイオフ以外にも、企業が取るべき選択肢は存在する。以下にその一部を示す。 1.ベンダーとの協調的再交渉 報道によれば、Saksは支払いの遅延や強引な条件変更によってサプライヤーの信頼を失っている。これに代わり、誠実な情報開示と双方向の交渉に基づいた協調的なコスト見直しを行えば、関係性を維持しながらコスト調整が可能である。 2.短時間勤務や一時的休業(furlough)の活用 需要が一時的に落ち込んでいる場合、レイオフではなく短時間勤務制度や無給休暇制度の導入により、人材を維持したまま一時的な支出削減を行うことができる。特に一部の州では、こうした制度に対する助成金や失業保険の支援も受けられる。 3.物流・販売戦略の再設計 関税の影響を受けにくい販路や商品の見直し、あるいはeコマースや店舗受け取り...

アメリカ人事【雇用主が節約するための具体的な施策】

  アメリカ人事【雇用主が節約するための具体的な施策】 1. FSA(Flexible Spending Account)やHSA(Health Savings Account)の活用を促進する 社員が 税引き前の給与を医療目的に使えるようにする制度 を導入・推進することで、 雇用主・従業員双方に税制上のメリット が生まれます。 雇用主側は、FICA(社会保障税とメディケア税)の 課税対象となる給与総額が減少 するため、 雇用主負担の税金も減る ことになります。 例えば、1人あたり$2,500をFSAに拠出した場合、約7.65%(FICA相当)の雇用主負担が節約可能 → 年間で約$191の節税になります。 2. FSAの「未使用資金の没収(forfeiture)」を抑える 多くの従業員がFSAの「 使いきりルール (use-it-or-lose-it)」を理解しておらず、資金を使い残して雇用主に戻ってくることがあります。 これは一見、雇用主にとっては利益のように見えますが、 制度自体の利用が進まない と、 全体としての節税効果が薄れる ため、 社員に「FSAで何が買えるか」について定期的に教育・周知する (例:年末に「使い忘れ防止」メールを送る) FSA Storeなどの対象商品リンクを社内イントラで紹介 社内ワークショップやウェビナーでHSA/FSAの使い方を解説 などの啓発活動を行うことで、 利用率が高まり、全体としての税制メリットが最大化 します。 3. HSAの導入を検討する(特に中長期的なコスト削減に有効) HSAは従業員にとって 高額医療費の備えとして貯蓄できる制度 であり、かつ未使用分を翌年以降も 繰り越し可能 であるため人気があります。 高控除額型プラン(High-Deductible Health Plan:HDHP)とセットで提供することで、 保険料自体を抑えることも可能 です。 雇用主にとっては、 医療保険の企業負担分の圧縮 につながる可能性があります。 4. 従業員がFSA/HSA対象商品を最大限に活用できるようにする 提携ドラッグストアやオンラインショップ(例:FSA Store、AmazonのFSA/HSAセクション)へのアクセスを案内し、 従業員が簡単に対象商品を把握できる仕組み を提供します。 対象商品例:日焼け止め、救急箱、...

アメリカ人事 | なぜあの会社は儲かっているのか?TSMC編

 アメリカ人事 | なぜあの会社は儲かっているのか?TSMC編 経営者の悩みの75%はお金と人の問題と言われます。アメリカ人事ではビジョンを達成するための人材投資とそれを可能にするお金の流れを創り出すことが成功の鍵ではないでしょうか? https://www.appeconomyinsights.com/p/pro-this-week-in-visuals-e6f?img=https%3A%2F%2Fsubstack-post-media.s3.amazonaws.com%2Fpublic%2Fimages%2Fdf1bb852-a036-44e6-99a6-4c8e70e9160e_2744x1539.png&open=false 【TSMCとはどんな会社か?】 TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company/台湾積体電路製造股份有限公司)は、1987年に設立された世界最大の半導体受託製造(ファウンドリ)専業企業です。 Apple、NVIDIA、AMDなどの顧客が設計した最先端チップを、TSMCが自社の工場で製造する「製造専門業者」として知られています。自社ブランド製品は持たず、技術力と設備投資によって競争優位を築いています。 【2025年第1四半期の業績ハイライト】 ・売上高(Revenue):255億ドル(前年同期比35パーセント増) ・粗利益(Gross Profit):140億ドル(粗利益率55.6パーセント)  → 材料費や製造原価を差し引いた利益であり、非常に高水準です。これは、TSMCの高度な設備投資と製造技術力によるコスト競争力の高さを示しています。 ・営業利益(Operating Profit):110億ドル(営業利益率約43パーセント)  → 粗利益から研究開発費や販売管理費を差し引いた利益です。巨額のR&D支出がありながらも高い営業利益率を維持しています。 ・経常利益/純利益(Net Income):110億ドル(純利益率約43パーセント)  → 営業外収益や税引後の最終利益で、営業利益と同水準にあることから、財務体質が極めて健全であることがわかります。 【成長の背景と要因】 ・売上の59パーセントがHPC(高性能コンピューティング、AI関連)に関係するチップからの収益で...

アメリカ人事 | 65歳で健康保険打ち切り?年齢差別と企業の責任

 アメリカ人事 | 65歳で健康保険打ち切り?年齢差別と企業の責任 年齢による差別は、アメリカでは明確に違法である。にもかかわらず、「65歳になったら退職」「65歳以上はメディケアを使えばよい」という考えが、無意識のうちに人事慣行に染みついていないだろうか。 2025年4月10日、映画館チェーンのAllen Theatres社が、高齢従業員への差別を理由とするEEOC(米国雇用機会均等委員会)の訴訟で25万ドルの和解金を支払うことが発表された(EEOC v. Allen Theatres)。 同社は、73歳の長年勤務していたマネージャーに対し、COVID-19後の再開時に復職を認めず、また65歳になった従業員の健康保険の提供を停止し、メディケアへの移行を当然視していたという。さらには、65歳以上の従業員への給与も低く設定されていた。 “It violates federal anti-discrimination law for managers or any corporate officers to force workers over the age of 40 to involuntarily retire because of their age.” ― Mary Jo O’Neill, EEOC 出典: https://www.hrdive.com/news/theater-chain-settles-lawsuit-alleging-it-halted-workers-health-insurance/745424/ 人事担当者への示唆:年齢に基づく制度運用の見直しを ・年齢による福利厚生の制限は原則NG 65歳以上になった従業員に対し、「メディケアがあるから」として企業の健康保険の提供を打ち切ることは、年齢差別(ADEA違反)に該当するリスクが高い。福利厚生制度は全従業員に平等に提供すべきである。 ・例外:従業員が20名未満の企業はMedicareがPrimary ただし、従業員が20名未満の会社では、MedicareがPrimary(主たる保険)となり、会社のグループ保険はSecondary扱いとなる。この場合、従業員が本人の意思でグループ保険を辞退し、Medicareのみを利用することは合法的に認められている。重要なのは、会社が辞退を強制...