2026年11月2日月曜日

 アメリカ人事|318号| 【動画】医療保険料年間$48,000の削減はどうやって実現するのか?

 


ある水泳選手がインタビューで

「毎日泳いでいるのか?」

という質問に

「毎日泳いでいる」

と回答。

「1日泳がないと取り戻すのに1日かかる。

1日泳がないと2日遅れることになる。」

と語っていました。

 

これは泳ぐことを習慣としているということだと思います。 私はHRも習慣ではないかと思っています。 ちょっとした言動や態度の積み重ねが大きな問題になることもあります。

 

そのため、弊社では顧問契約のお客様に常にニュースレターをお届けする

というコミットメントをしております。

もちろん、いろいろな質問をいただき、それにお答えすることも一つ

だと思いますが、毎週お送りするニュースレターに思いを込めて

お届けしています。

▼毎週弊社の顧問契約にお客様に配信しているニュースレター アメリカ人事 | Bronze| 2026年10月27日(火曜日) 今週みなさんからいただいた質問は? より https://polar-canvas-b01.notion.site/Bronze-2026-10-27-40717087036280aa9614c2898b8b5d08


▼【動画】医療保険料年間$48,000の削減はどうやって実現するのか?

https://youtu.be/WXoac-UHG0A?si=D5amXblwELvoxXS4


▼コーヒータイムは月1回開催。次回は人事系の資格ってどうやってとるの?

 

毎月第2金曜 3:00pm〜3:15pm  皆様とお困りごとをテーマに気軽に雑談するコーヒータイム

次回は11/13/2026(FRI) 3:00pm(PDT)です。

▼お申込は今すぐ!

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▼次回の参考資料です。

https://acrobat.adobe.com/id/urn:aaid:sc:US:3b8701f6-ed74-4cd3-9965-07f4427b4cdd

 

▼前回は下記のようなお話を致しました。

Philosophy Coffee Time October 9, 2026 3:00 PM

Summary

カリフォルニア新法と従業員ハンドブック修正

  • 施行: 9月30日にニューサム知事がサインし、2027年施行の新しい法律が成立

  • 対応: エンプリーハンドブックの修正が必要になるタイミング。準備は2027年ごろから始める想定

  • 対象州: 参加者の多くがカリフォルニア在住のため、関連する新法を共有

  • 修正が必要な主な項目: ビリーメントリーブ: 家族・介護休暇の対象に「デジグレーテッドパーソン」(指定した人)を年1人追加可能に。CFRA(カリフォルニアファミリーライツアクト)やペイドシックリーブと同様の改正 FEHA(フェアエンプレメントハウジングアクト): 性別の定義が変わるため、ハンドブックの「イーコールエンプリメントオポチュニティ」項目を修正。監督はシビルライツディパートメント セクシャルハラスメント研修: 2028年1月から反ヘイトスピーチ項目が追加。2年ごとの研修(部下あり2時間・なし1時間)、採用後・昇進後6ヶ月以内の受講ルールは既存。シビルライツディパートメントの無料動画が利用可能


職務グレード:人ベースから仕事ベースへ

  • 人事の三つの核となる制度: 職務グレード・評価・報酬。日本では等級・評価・報酬として同じ位置づけ

  • 日本の特徴: 戦後の職能資格等級が浸透。長期雇用・新卒一括採用・企業内組合が「三種の神器」と呼ばれる

  • 駐在員さんからの相談: 等級・評価・報酬のラフな設計を持ち込み。日本式は「人」がキャリアを積み報酬の階段を登る仕組み

  • アメリカの違い: 仕事の階段を登る「仕事ベース」で報酬が決まる。15人以上の従業員がいると求人票で報酬レンジを公開する義務があり、仕事ベースの報酬設計が法律で義務づけられている

  • ポイント: グレードは「人」ではなく「職務」につける


ヘイシステムの経緯

  • 80年代以前はヘイシステム(仕事の価値を測るポイントレーティング)がアメリカでも流行

  • 2004年にアメリカへ移った頃には廃れており、日本が職務給導入に使っていた仕組みが現地で使われていないことにショックを受けた


承認(レコグニション)の重要性

  • ホーソン工場実験(1950年代頃): 明るさやインセンティブを変えても生産性に大きな影響はなく、実験に選ばれたこと自体の誇りが生産性を押し上げた

  • アメリカ企業の実践: カスコのレジ近くに25年勤続者の表彰やマンスリーオブザエンプレイを飾り、顧客の褒め言葉を画面に流すなどレコグニションを重視

  • 人事への示唆: 承認要求や誇りを引き出すことはHRで非常に重要

 

2026年10月27日火曜日

【2027年 カリフォルニア州】ソフトウェアエンジニアのExempt最低年収は$127,108.34に

 【2027年 カリフォルニア州】ソフトウェアエンジニアのExempt最低年収は$127,108.34に

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カリフォルニア州では、ソフトウェアエンジニアをExempt(残業代の支払い対象外)として扱うための最低賃金が、一般のExemptとは別に決められています。この金額は、毎年、州の物価指数に合わせて見直されます。

2027年1月1日からの基準は次のとおりです。
・年収 $127,108.34 以上
・または月給 $10,592.37 以上
・または時給 $61.03 以上
(2026年は年収 $122,573.13 でしたので、約3.7%の引き上げです)

因みに、Executive / Administrative / Professional のExemptの最低年収は、2027年は $72,384 です(州の最低賃金 $17.40 × 2 × 40時間 × 52週)。
ソフトウェアエンジニアの基準は、その約1.76倍になります。

■ ソフトウェアエンジニアとはどのような仕事でしょうか?

コンピューター、スマートフォン、家電、自動車などを動かす「ソフトウェア」の設計、開発、テスト、運用・改善までを一貫して担う技術者です。
単にプログラム(コード)を書くだけではありません。「誰のどんな課題を、どんな技術で、安全かつ効率的に解決するか」を論理的に設計し、形にする役割を持っています。
建築に例えると、指示通りに壁を作る職人だけでなく、設計図を引き、耐震性や使いやすさを計算し、完成後のメンテナンス計画まで考える建築士のような存在です。

■ 身近な例:フードデリバリーアプリの裏側

・注文画面の作成(フロントエンド)
ボタンや料理写真のレイアウトを整え、「タップするとすぐ反応する」「通信が悪くても固まらない」といった使い心地(UI/UX)を作ります。

・注文と配達のマッチング(バックエンド)
「注文する」を押した瞬間に決済を安全に処理し、注文を店舗に送ります。同時にGPS情報から、近くの配達パートナーを数秒で見つける仕組みを作ります。

・アクセス集中への対策(クラウド/インフラ)
雨の日のお昼や週末の夜に注文が集中しても、サーバーが落ちないように、自動で設備を増やす仕組みを整えます。

■ 主な仕事の流れ

① 要件定義:何を作るかを決める
② システム設計:データの保存方法、外部サービスとの連携、セキュリティなどの設計図を作る
③ 実装:Python、Java、Go、TypeScriptなどでコードを書く
④ テスト:「カード残高が足りない時は?」など、異常なケースも含めて不具合を見つける
⑤ リリース・運用保守:公開後も監視、速度改善、新しいOSへの対応を続ける

■ 主な専門分野

・Webエンジニア:ECサイトのカート機能、SNSのタイムラインなど
・モバイルアプリエンジニア:iPhone/Androidアプリの開発
・組み込みエンジニア:炊飯器の温度制御、自動車の自動ブレーキなど
・クラウド/SREエンジニア:24時間365日止まらないシステム基盤の構築
・AI/機械学習エンジニア:画像認識、おすすめ表示、自然言語処理など

■ 人事担当者の方へ:ここが大切です

Exemptになるかどうかは、「ソフトウェアエンジニア」「プログラマー」といった肩書きでは決まりません。
次の両方を満たす必要があります。

① 給与基準を満たしていること(上記の金額)
② 仕事の中身が要件を満たしていること
・システム分析、ソフトウェアの設計・開発・テストなどの業務に、勤務時間の半分以上を使っている
・高度な専門スキルを持ち、自分の判断(裁量)で仕事を進めている

次のような方は、原則として対象外です。
・トレーニー(研修中)やエントリーレベルの社員
・コンピューターのハードウェアの製造・修理・保守を担当する方
・CADなどのソフトを使って仕事をするが、ソフトウェアそのものを作るわけではない方

そして、この給与基準に届かないソフトウェアエンジニアは、原則としてNon-exempt(残業代の支払い対象)として扱う必要があります。

1月1日まで、あと約2か月です。
Exemptで雇用しているエンジニアの給与と職務内容を、今のうちに確認しておきましょう。

訴訟大国アメリカを生きのびるために。
アメリカ人事コーチ 山口憲和

出所
https://www.dir.ca.gov/oprl/ComputerSoftware.htm

 


出所
https://www.dir.ca.gov/oprl/ComputerSoftware.htm

2026年10月23日金曜日

アメリカ人事|日本のジョブ型効果無し、という調査に意味があるか?

 アメリカ人事|日本のジョブ型効果無し、という調査に意味があるか?

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山口憲和(SHRM-SCP, MBA)
Philosophy, LLC

先日、日本経済新聞で「ジョブ型導入、明確な効果『実感できず』5割」という記事が報じられた。

この記事のもとになったのは、日経ビジネスとリクルートマネジメントソリューションズ(以下、リクルートMS)が共同で行った「ジョブ型人事制度の運用実態調査」である。2026年7月、従業員300名以上の企業の人事担当者636人が回答した。注目すべきは、職務・役割型の等級制度を「一部でも」導入している企業を「ジョブ型」と定義している点だ。

この記事を読んで、私はひとつの疑問を持った。そもそもジョブ型とは、企業が「効果」を期待して導入するものなのだろうか。

この疑問を、友人Aにぶつけてみた。Aは私の考えに頷きながらも、いくつか鋭い異論を返してきた。以下は、その議論の記録である。

■ まず、調査は何を聞いたのか

山口:
最初に、調査の中身を確認しておきたい。導入目的として最も多かったのは「成果による処遇のメリハリ」で53.9%。次いで「年功的な賃金からの脱却」が45.4%、「採用力強化」が42.1%だった。

友人A:
成果実感はどうだったのか。

山口:
リクルートMSの発表では、各目的で約半数の企業が成果を実感している一方、約2割は実感できていない。日経の「5割が実感できず」という見出しは、「どちらともいえない」と答えた中間層も含めた数字と読める。同じ調査でも、見出しの付け方で印象はかなり変わる。

友人A:
「約2割が失敗」と「半分がうまくいっていない」では、ずいぶん違うね。

山口:
他にも興味深い結果がある。実施施策の数が7つ以上の企業では、成果を実感している企業が約7割に達した。逆に、施策が0〜1つの企業では、「キャリア自律の促進」で否定的な回答が肯定を上回った。運用の最大の壁は「人事部の人員不足」が34.3%、「管理職の知識・能力不足」が29.4%だった。そして、職務記述書を実施している企業の約3割が、廃止を考えているという。

■ 論点1:ジョブ型は「効果」を期待するものか

山口:
アメリカでは、多くの州でPay Transparency(賃金透明性)法が導入されている。同じジョブであれば報酬レンジを公開し、差別をしてはいけない。これが骨格の考え方だ。つまりジョブ型は、効果を期待して導入するものというより、差別を無くすための土台ではないか。

友人A:
基本的には賛成だ。ただ、いくつか整理させてほしい。まず数字だ。州法として施行されているのは、2026年8月時点で16州とワシントンD.C.だ。デラウェア州が2027年9月に施行予定なので、成立済みで数えても17州とD.C.になる。市などの自治体条例を含めると、全米で27の法域になる。

もうひとつ。「同じ仕事なら同じ賃金」という骨格は、Pay Transparency法よりずっと前からある。1963年の連邦Equal Pay Act(同一賃金法)と、1964年の公民権法第7編だ。Pay Transparency法は、その原則を「見える化」して守らせるための道具だ。

山口:
その通りだ。そして、だからこそアメリカの企業は職務記述書を作る。効果を期待しているからではない。賃金の差を「職務が違うから」と説明できなければ、訴訟で負けるからだ。Fair Labor Standards Act(公正労働基準法)の残業対象外(Exempt)区分の根拠も、Americans with Disabilities Act(障害を持つアメリカ人法)の「本質的職務」の特定も、すべて職務の定義が前提になる。

だから、日本で職務記述書の廃止を考える企業が約3割あると聞くと、私は驚く。アメリカでは、職務記述書をやめるという選択肢はほぼない。

友人A:
アメリカでは、ジョブ型は「導入する制度」ではなく、訴訟リスクの中で企業が生きのびるための「前提条件」ということだね。ここまでは全面的に同意する。

■ 論点2:ジョブ型の導入目的とは何なのか

山口:
ここで改めて問いたい。日本企業は、何のためにジョブ型を導入しているのか。調査の目的を見ると、処遇のメリハリ、年功賃金からの脱却、採用力強化。どれも「業績や報酬を改革する道具」としての目的だ。「公正な処遇」や「差別の防止」に当たる目的は、上位に出てこない。

友人A:
選択肢の中には「グローバルでの人事制度の統一」もあった。これは18.9%で、他の目的が約4割前後なのに比べると、際立って低い。

山口:
私はそこにも疑問がある。グローバルで制度を統一して、どのような意味があるのか。社内の公平性だろうか。しかし、社内で公平をとっても、各国の事業に合わせなければ人材が成果を発揮できないとしたら、それは企業の目的と本末転倒ではないか。

アメリカで事業をするなら、アメリカの労働市場の相場で人を採らなければならない。各州の法律も守らなければならない。日本本社と同じ等級、同じ評価、同じ給与テーブルをそのまま当てはめたら、優秀な人材は採れないし、残らない。

友人A:
その懸念はよく分かる。ただ、ここは異論を言わせてほしい。「グローバルで統一する」というのは、給与を世界で同じにするという意味ではない。君はマーサーにいたから知っていると思うが、グローバル企業が統一するのは、多くの場合「職務等級の物差し」だ。どの国のどのポジションが、どの重さの仕事なのか。その共通言語を作る。

山口:
物差しは統一するが、給与の水準は各国の市場で決める、ということだね。

友人A:
そうだ。報酬設計には、社内公平性(Internal Equity)と外部競争力(External Competitiveness)という2つの軸がある。物差しを統一するのは、社内公平性のためだ。給与水準を各国の市場に合わせるのは、外部競争力のためだ。この2つは対立するものではなく、組み合わせるものだ。

物差しが統一されていれば、国をまたいだ異動や後継者の選定、海外拠点の幹部の処遇が説明しやすくなる。日本から駐在員を送るときも、現地社員と比べて「この人はどの重さの仕事をしているのか」が明確になる。

山口:
それは理屈としては正しい。しかし、現実の日系企業ではどうか。私が見てきた在米日系企業の多くは、物差しの統一ではなく、本社の格付けをそのまま持ち込んでいる。「本社で課長だから、アメリカでも課長待遇」という発想だ。そうなると、現地社員から見れば、職務ではなく「本社の身分」で処遇が決まっていることになる。それこそ、アメリカの同一賃金の考え方とぶつかる。

もうひとつ、数字で見える問題がある。パソナさんの在米日系企業の給与調査結果を経年で拝見していると、同じ職務、たとえばアカウンティングマネジャーの報酬平均を日系企業と米系企業で比べた場合、日系企業の方が25%程度低いという結果が出ている。

友人A:
25%は大きいね。

山口:
しかも皮肉なことがある。在米日系企業は、日本語と英語のバイリンガルを採用する傾向が強い。本来なら、バイリンガルは追加のスキルだ。ところが日系企業に入ると、報酬が低くなる。スキルがあるのに報酬が下がる、という逆転が起きているのだ。

友人A:
職務で処遇を決めるなら、同じアカウンティングマネジャーに、バイリンガルという付加価値まで求めているのだから、報酬は高くなるはずだ。それが低くなるということは、職務ではなく「日系企業の物差し」で給与が決まっているということになる。

山口:
その通りだ。日本本社の給与水準や格付けを基準にしているから、アメリカの市場から取り残される。そして、Pay Transparency法で求人票に賃金レンジが載るようになれば、この差は求職者からはっきり見えるようになる。優秀なバイリンガル人材ほど、米系企業を選ぶだろう。

友人A:
社内では公平でも、市場から見れば不公平。まさに君の言う本末転倒だね。統一すべきは物差しであって、本社の身分制度ではない。

山口:
つまり、目的が曖昧なまま「グローバル統一」を掲げると、社内公平性の名のもとに、現地で成果を出す力を削ってしまう。それなら18.9%という低い数字は、むしろ健全なのかもしれない。

友人A:
皮肉な見方だが、一理ある。

■ 論点3:日本の文化・慣習の壁

山口:
もうひとつ大きな問題がある。企業はジョブ型で人材の流動性を期待していたのかもしれない。しかし日本には、先輩・後輩・同期という年齢をベースにした考え方がある。そして、新卒一括採用、年功序列、終身雇用、企業内組合という、ジョブ型と相容れない文化・習慣も残っている。一部分だけジョブ型を導入しても、文化や慣習が変わるわけではない。だから効果が見込めないのではないか。

友人A:
それも筋が通っている。経済学には「制度的補完性」という考え方がある。新卒一括採用、年功序列、終身雇用、企業内組合は、バラバラの制度ではなく、お互いを支え合うひとつのセットだ。職務ではなく「人」を採るから、年功で処遇する。長く勤めるほど得をするから、転職しない。社内で配置転換するから、組合も企業単位になる。このセットの一部だけを入れ替えても、周りの制度が元に戻そうとする力が働く。

山口:
まさにそれだ。職務記述書を作っても、新卒で採った社員を定期異動させれば、職務はすぐに変わってしまう。職務記述書の廃止を考える企業が約3割あるのも、異動のたびに書き直すのが現実に合わないからではないか。また、退職勧奨を実施している企業は1割未満だった。職務がなくなっても雇用は守る。これは終身雇用の前提がそのまま残っていることを示している。

■ 友人Aの異論

友人A:
ただ、ここからは異論がある。2点ある。

1点目。「部分導入だから効果が出ない」とは限らない。調査では、職能・職務・役割の等級軸を2つ、3つと組み合わせている企業の方が、1つだけの企業より成果実感が高かった。管理職や専門職は職務で、それ以外は役割や職能で、という「ハイブリッド型」だ。問題は「部分導入」そのものではなく、「どの部分に入れたか」ではないか。

山口:
確かに、専門職の採用では市場価格を無視できない。そこは認める。

友人A:
2点目。文化は変えられない前提のように話しているが、文化は制度の結果でもある。先輩・後輩・同期という感覚は、日本人の性質というより、新卒一括採用と年功序列が何十年も続いた結果として強化されてきた面がある。制度が変われば、文化もゆっくり変わる。導入から数年の調査で「効果を実感できない」となるのは、ある意味当然だ。

山口:
しかし、その「ゆっくり」が問題なのだ。日本企業は、短期間で効果を求めてジョブ型を導入している。時間軸が合っていない。そして、変わるのを待っている間に、旧来の制度が新しい制度を飲み込んでしまう。

友人A:
その点は同意する。調査でも、施策をたくさん組み合わせた企業ほど成果が出ている。制度を一つ入れて待つのではなく、運用を積み重ねた企業だけが成果を得ている。だから私の結論はこうだ。ジョブ型が無意味なのではない。「何のために導入するのか」という目的と、「いつまでに」という時間軸の設定がずれているのだ。

■ 論点4:では、この調査に意味はあるのか

山口:
私はこう考える。アメリカでは、効果を問う以前に、法律がジョブ型を求めている。同一賃金法、Pay Transparency法、公正労働基準法、障害を持つアメリカ人法。これらがジョブ型を前提として企業に義務を課している。日本には、今のところそうした外圧がない。だから「効果があるかどうか」で導入の是非が議論されてしまう。

友人A:
つまり、調査が問うている問いそのものが、アメリカから見るとずれている、ということだね。

山口:
そうだ。「効果を実感できない」という調査結果は、ジョブ型の失敗を示しているのではない。日本企業がジョブ型を「業績を上げる道具」として捉えている、ということを示しているにすぎない。その意味では、この調査には意味がある。ただし、ジョブ型の評価としてではなく、日本企業がジョブ型を導入する「目的」を映す鏡として、である。

友人A:
一つだけ付け加えさせてほしい。日本でも、ジョブ型を「公正な処遇の土台」として位置付け直せば、評価は変わるかもしれない。同一労働同一賃金や女性活躍の議論は、まさにその入口だ。

山口:
その通りだ。そこにこそ、日本のジョブ型の本当の意味があるのではないか。

■ 在米日系企業の皆様へ

在米日系企業にとって、「ジョブ型にするかどうか」は選択肢ではない。

日本本社の職能的な発想、たとえば「何でもやってくれる人」や「本社の格付けで給与を決める」という考え方をそのまま持ち込むと、同一賃金、求人票の賃金レンジ記載、残業対象外区分のすべてで訴訟リスクになる。

グローバルで制度を統一するなら、統一すべきは「職務の重さを測る物差し」であって、本社の身分制度ではない。給与の水準は、アメリカの、そして各州の市場と法律に合わせる必要がある。

同じ職務で米系企業より25%程度低い報酬、そしてバイリンガルというスキルがあるほど報酬が低くなるという皮肉。これは、職務ではなく本社の物差しで処遇を決めてきた結果である。賃金レンジが公開される時代に、この差を放置すれば、優秀な人材から順に去っていく。社内公平性のために現地で成果を出す力を削ってしまっては、本末転倒である。

アメリカにおいて、ジョブ型は効果のためではなく、防御のための前提である。訴訟大国アメリカを生きのびるために、まず職務を定義することから始めていただきたい。

参考資料

ジョブ型導入企業に独自調査、人事担当者636人が回答 明確な効果、5割「実感できず」(日経ビジネス)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/02613/

 

「ジョブ型人事制度の運用実態調査」の分析結果を発表(リクルートマネジメントソリューションズ/PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000196.000029286.html

 

ジョブ型人事制度で成果が出ない理由 運用阻む管理職の知識不足(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/103899

 

ジョブ型を導入しても、なぜ会社は変わらないのか――人事制度改革に欠ける「補完性」の視点(碇邦生/日経COMEMO)
https://comemo.nikkei.com/n/n371a141e73b5

 

Pasona N A, Inc.(在米日系企業 現地採用社員の給与調査)
https://www.pasona.com/

 

Show and Tell: New State Salary Disclosure Laws Go into Effect(National Law Review)
https://natlawreview.com/article/show-and-tell-new-state-salary-disclosure-laws-go-effect

 

US Pay transparency laws by state and locality(Brightmine)
https://www.brightmine.com/us/resources/charts/u-s-pay-transparency-laws-by-state-and-locality/

 

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#アメリカ人事 #アメリカ #人事 #HR 

 

 

 

 

 

 

 

2026年10月6日火曜日

アメリカ人事 | 第317号 | 2027年カリフォルニア州の新しい法律とEmployee Handbookの修正ポイントについて

 アメリカ人事 | 第317号 | 2027年カリフォルニア州の新しい法律とEmployee Handbookの修正ポイントについて

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アメリカ人事 Ⓡ 第404回 | 2027年カリフォルニア州の新しい法律とEmployee Handbookの修正ポイントについて

▼動画解説は下記のリンクから

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【カリフォルニア州】知事が主な雇用関連法案に署名、更年期保護の法案(AB 1940)は廃案

カリフォルニア州のニューサム知事は、2026年9月末に雇用に関する多くの法案に署名しました。この号外では、今年署名された主な14の法律と、昨年成立して2027年から適用される1つの法律を取り上げます。一方、更年期の保護を差別禁止法に加える法案(AB 1940)には拒否権を行使し、この法案は廃案となりました。

今回の中心は「人工知能(AI)」と「従業員の監視」です。ほとんどの法律は2027年1月1日に施行されます。準備期間は約3か月です。

この号外では、各法律が雇用主に何を求めているか、そして Employee Handbook(従業員ハンドブック)のどこを変更すべきかをまとめます。

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■ 一覧:2027年に向けた主な15の法律と、廃案になった1の法案

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【1】SB 947(署名)

内容:自動意思決定システム・人工知能による懲戒・解雇には人間の確認が必要

施行日:2027年7月1日(Fisher Phillips による)

【2】SB 951(署名)

内容:人工知能が原因の大量レイオフを通知書で開示

施行日:2027年1月1日

【3】AB 1883(署名)

内容:人工知能で従業員の感情・神経データを読み取ることを禁止

施行日:2027年1月1日

【4】SB 690(署名)

内容:ウェブサイトのトラッキングに関する訴訟を制限

施行日:2027年1月1日

【5】AB 1331(署名)

内容:トイレでの監視ツール使用を禁止

施行日:2027年1月1日

【6】SB 1237(署名)

内容:賃金データ報告の罰金を引き上げ

施行日:次回報告期限 2027年5月12日から影響

【7】SB 464(昨年成立)

内容:賃金データ報告の職種区分が10から23に増加

施行日:2027年から適用

【8】AB 2646(署名)

内容:農業の最低賃金 時給19.75ドル

施行日:2027年1月1日

【9】AB 1697(署名)

内容:「Stay-or-Pay」禁止の開始を1年延期

施行日:2027年1月1日

【10】SB 1149(署名)

内容:忌引休暇の対象を拡大

施行日:2027年1月1日

【11】AB 1803(署名)

内容:ハラスメント防止研修にヘイトスピーチを追加

施行日:2028年1月1日

【12】AB 2321(署名)

内容:州労働安全衛生局の権限強化、調査妨害は犯罪に

施行日:2027年1月1日

【13】AB 2563(署名)

内容:差別禁止法の「性別」の定義を拡大

施行日:2027年1月1日

【14】AB 2495(署名)

内容:在留資格に関連する不当な行為の禁止を拡大

施行日:2027年1月1日

【15】AB 2155(署名)

内容:仲裁合意の有効性に関するルールを変更

施行日:2027年1月1日

【廃案】AB 1940(拒否権により廃案)

内容:更年期を差別禁止法の保護対象に追加

施行日:成立せず

※ SB は州上院の法案(Senate Bill)、AB は州下院の法案(Assembly Bill)です。

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■ 1. 人工知能(AI)に関する3つの法律

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◆ SB 947:人工知能だけで従業員を懲戒・解雇してはならない

【法律が求めること】

・雇用主が人工知能ツールを「主な根拠」として従業員を懲戒または解雇する場合、人間が独立して内容を確認しなければなりません。

・確認する人は、上司の評価、人事ファイル、仕事の成果物などの証拠で、ツールの結果を裏づける必要があります。

・決定を伝える時点で、従業員に独立した書面の通知を渡さなければなりません。

・従業員は、過去12か月間にシステムが使った自分のデータの説明を求めることができます。

・対象は現在の従業員のみです。応募者は対象外です。

・罰金は1件の違反につき500ドルです。施行日は、Fisher Phillips の記事によると2027年7月1日です。CalChamber の記事はこの法律の施行日に触れていません。

この法律の対象は、人工知能を含む「自動意思決定システム(Automated Decision System)」全般です。雇用主は、このシステムを次の目的で使うこともできません。

・連邦・州・地方の労働法の遵守を妨げること

・労働安全衛生、雇用、公民権に関する法律や規則を守らないこと

・カリフォルニア州公正雇用住宅法(Fair Employment and Housing Act)で保護される属性を推測すること

・法律上の権利を行使する労働者を予測したり、その労働者に不利益な扱いをしたりすること

【Employee Handbook の変更点】

・懲戒・解雇の方針に「最終判断は必ず人間が行う」と明記します。

・人工知能ツールを人事判断に使う場合の方針を新しく追加します。

・従業員が自分のデータについて説明を求める手続き(窓口と方法)を記載します。

・Handbook とは別に、解雇・懲戒時に渡す通知書のひな形を用意します。

◆ SB 951:人工知能が原因の大量レイオフは通知書で開示する

【法律が求めること】

・大量レイオフ、事業所の移転、閉鎖が「全部または相当部分」人工知能や自動化によるものである場合、カリフォルニア州の大量解雇事前通知法(California Worker Adjustment and Retraining Notification Act)の通知書に、4つの項目を追加します。

 (a) 通知書の冒頭に「This notice is for a technology displacement」と記載する

 (b) 影響を受ける職位の数と種類

 (c) 自動化される職務の内容

 (d) 原因となった技術の種類

・州は四半期ごとに技術による人員削減の概要を公表します。会社の情報が一般の人、労働組合、原告側弁護士の目に触れる可能性があります。

・施行日は2027年1月1日です。

【Employee Handbook の変更点】

・通常、Handbook 本文の変更は必要ありません。

・レイオフ時に使う通知書のひな形と社内手続きを更新します。

・大量レイオフを行う規模の会社が対象で、小規模の会社への影響は限定的です。

◆ AB 1883:人工知能で従業員の感情や神経データを読み取ることを禁止

【法律が求めること】

・雇用主は、人工知能を使った職場の監視ツールで、従業員の感情の状態を認識または予測してはなりません。

・従業員の神経系から「神経データ」を集めることも禁止です。

・対象になりうるツールの例:コールセンターや社内チャットの感情分析機能、メールやチャットを分析する人事分析ツール、集中度や疲労を測る脳波ヘッドバンドやイヤホン。

・安全を確保するためのツールには例外があります。ただし、例外の範囲はまだ明確ではありません。

・罰金は1件の違反につき最大500ドルです。施行日は2027年1月1日です。

【Employee Handbook の変更点】

・電子機器・通信の監視に関する方針(Electronic Monitoring / Technology Use Policy)に、「感情の分析や神経データの収集は行わない」と追記します。

・現在使っているソフトウェアに感情分析の機能がないか、ベンダーに確認します。機能がある場合は停止します。

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■ 2. 職場の監視とプライバシーに関する2つの法律

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◆ SB 690:ウェブサイトのトラッキングに関する訴訟を制限

【法律が求めること】

・これは企業にとって良いニュースです。新しい義務を課す法律ではありません。

・これまで、ウェブサイトのクッキー、ピクセル、アクセス解析ツールがカリフォルニア州プライバシー侵害法(California Invasion of Privacy Act)に違反するとして、多数の訴訟や請求書が出されてきました。法定損害賠償は1件につき5,000ドル以上です。

・2027年1月1日から、ウェブサイトやアプリに関する「pen register」「trap-and-trace」の請求について、個人が訴訟を起こすことはできなくなります。取り締まりは州司法長官が行います。

・過去2年以内に提起された係属中の請求にもさかのぼって適用されます。

・ただし、同じ法律の「盗聴(wiretapping)」に関する請求は対象外です。さかのぼり適用についても、原告側が争うと見られています。

【Employee Handbook の変更点】

・変更は必要ありません。これは従業員ではなく、ウェブサイトの利用者に関する法律です。

・係属中の請求や請求書がある会社は、弁護士に影響を確認してください。

◆ AB 1331:トイレでは監視ツールを使えない

【法律が求めること】

・裁判所の命令がない限り、職場のトイレで監視ツールを使って従業員を監視することはできません。

・「監視ツール」の定義は広く、入退室バッジ、ウェアラブル端末、会社携帯の位置情報、待機時間を記録する勤怠ソフトウェアも含まれます。

・従業員は、トイレに入る前にこれらのツールを置いていくことができます。それを理由に懲戒することはできません。

・例外:休憩中も連絡がつく状態でいる必要がある従業員、入退室時の1回のバッジ認証、携帯が義務づけられた身分証や安全機器(録音・録画機能がなく、人工知能を内蔵していないものに限る)。

・トイレの利用回数や利用時間を追跡するために、入退室データを使うことはできません。

・罰金は1件の違反につき最大500ドルです。施行日は2027年1月1日です。

【Employee Handbook の変更点】

・監視に関する方針に「トイレ内では監視を行わない」と明記します。

・「従業員はトイレに入る前にバッジや端末を置いてよい」「それを理由に不利益な扱いをしない」と追記します。

・会社携帯・位置情報・勤怠管理の方針を見直し、トイレ休憩を「待機時間」として評価や懲戒に使わないことを確認します。

・管理職に、トイレの回数や時間をデータで追跡しないよう周知します。

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■ 3. 賃金と報酬に関する4つの法律

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◆ SB 1237:賃金データ報告の罰金を引き上げ

【法律が求めること】

・対象は、従業員100人以上(または派遣会社などを通じて雇う労働者100人以上)の雇用主です。毎年、州の公民権局(Civil Rights Department)に賃金データ報告を提出する義務があります。

・2回目以降の未提出に対する罰金の上限が、従業員1人につき200ドルから1,000ドルに上がります。

・1回目の違反の上限は、従業員1人につき100ドルのままです。

・次回の報告期限は2027年5月12日です。この回から高い罰金が適用される可能性があります。

【Employee Handbook の変更点】

・変更は必要ありません。

・対象となる会社は、報告義務の有無、派遣会社からのデータ入手、過去の未提出の有無を確認してください。

◆ SB 464:賃金データ報告の職種区分が10から23に増える

【法律が求めること】

・昨年成立した法律ですが、2027年から適用されます。

・賃金データ報告で使う職種区分の数が、10から23に増えます。

・報告義務のある会社(従業員100人以上)は、2027年に公表される新しい報告様式を確認してください。

【Employee Handbook の変更点】

・変更は必要ありません。

◆ AB 2646:農業の最低賃金が時給19.75ドルに

【法律が求めること】

・2027年1月1日から、農業の雇用主は、H-2A(農業の短期就労ビザ)の労働者と「corresponding employees(同じ仕事をする従業員)」に時給19.75ドルを支払う必要があります。

・2028年からは毎年、物価に合わせて調整されます。

・参考:2027年の州全体の最低賃金は時給17.40ドルです。

・高い時給は、食事・休憩の割増賃金、出勤手当(reporting time pay)、分割シフト手当、最終給与の遅延ペナルティの計算にも影響します。

【Employee Handbook の変更点】

・変更は必要ありません。

・最低賃金の金額は毎年変わるため、Handbook には記載せず、給与の設定で対応することをおすすめします。

【参考:州最低賃金とエグゼンプト従業員の最低年収】

・カリフォルニア州の最低賃金は、2027年1月1日から時給17.40ドルに上がります。

・これに伴い、残業代の対象外となるフルタイムのエグゼンプト(Exempt)従業員の最低年収は、72,384ドル(月額6,032ドル)になります。

・市や郡が独自の最低賃金を定めている場合があります。州より高い場合は、その地域の最低賃金を支払う必要があります。多くの地域で2027年1月1日に引き上げがあります。

・最低賃金や最低年収の金額は毎年変わるため、Handbook には記載しないことをおすすめします。給与の設定で対応し、エグゼンプト従業員の給与が新しい最低年収を下回らないか確認してください。

◆ AB 1697:「Stay-or-Pay」禁止の開始を1年延期

【法律が求めること】

・「Stay-or-Pay」とは、退職する従業員に研修費用などを返済させる契約のことです。昨年成立した AB 692 がこれを禁止しました(一部の学費返済や入社時ボーナスは例外)。

・AB 1697 は、この禁止の開始日を2026年1月1日から2027年1月1日に延期します。2026年中に結んだ契約について、雇用主は責任を問われません。

・新しい例外も追加されました。

 - 助成金による採用・定着プログラム

 - 従業員が自己都合で退職する場合の、前払いした有給休暇(Paid Time Off)の返済

 - 証券ブローカー・ディーラー、保険プロデューサー、投資アドバイザーの一部の契約

【Employee Handbook の変更点】

・研修費用の返済、学費補助(Tuition Reimbursement)、定着ボーナス(Retention Bonus)の規定を見直し、2027年1月1日以降の契約が法律の例外に当てはまる形に整えます。

・前払いの有給休暇を認めている会社は、「自己都合退職の場合は返済を求める」という規定が例外として認められます。文言を確認してください。

・既存の契約は、修正や取り消しをしないでください。

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■ 4. 休暇・研修・職場の安全に関する3つの法律

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◆ SB 1149:忌引休暇の対象が広がる

【法律が求めること】

・現在の忌引休暇(Bereavement Leave)の対象は、配偶者、子、親、兄弟姉妹、祖父母、孫、ドメスティックパートナー、義理の親です。

・2027年1月1日から、「designated person(指定する人)」が亡くなった場合も忌引休暇を取ることができます。

・「designated person」とは、血縁関係のある人、または家族と同等の関係にある人です。おじ、おば、いとこ、家族のように親しい友人も含まれます。

・忌引休暇は最大5日間です。

・従業員は、休暇を申請する時点で「designated person」を指定できます。

・雇用主は、忌引休暇の「designated person」を12か月につき1人に制限できます。

【Employee Handbook の変更点】

・忌引休暇の方針の「対象となる家族」の定義に、「designated person」を追加します。これは必須の変更です。

・休暇申請書の「故人との関係」の欄もあわせて更新します。

・「designated person」を12か月につき1人に制限する場合は、その制限を方針に明記します。

◆ AB 1803:ハラスメント防止研修にヘイトスピーチの内容を追加

【法律が求めること】

・対象は従業員5人以上の雇用主です。

・2028年1月1日から、義務であるセクシュアルハラスメント防止研修に、ヘイトスピーチ防止の内容を加える必要があります。

・研修では、保護される属性を理由に人を中傷したり、侮辱したり、憎しみをあおったりする発言について、気づき方・報告のしかた・対応のしかたを具体的に教えます。

・別の研修を作る必要はありません。研修時間も増えません。

・現在の研修が、保護される属性に基づくハラスメントや虐待的な行為をすでに扱っていれば、新しい要件を満たします。

【Employee Handbook の変更点】

・ハラスメント・差別・報復の禁止方針に、禁止される行為の例としてヘイトスピーチを加えることをおすすめします。

・研修の内容を確認し、研修ベンダーに対応予定を問い合わせます。期限は2028年ですが、早めの準備が安心です。

◆ AB 2321:州労働安全衛生局の権限強化、調査の妨害は犯罪に

【法律が求めること】

・2027年1月1日から、カリフォルニア州労働安全衛生局(California Division of Occupational Safety and Health、通称 Cal/OSHA)の調査局(Bureau of Investigations)は、より広い範囲の事故を速やかに調査します。

・調査の対象には、重大なけがだけでなく、重大な病気や有害物質への曝露、故意の違反(willful violation)に関連する重大事故も含まれます。

・調査局は、一定の重大事故を知った時点で、調査の終了を待たずにすぐ検察に通知します。

・州労働安全衛生局の職務を故意に妨害することは軽罪(misdemeanor)になります。最長6か月の拘禁と罰金が科されます。

【Employee Handbook の変更点】

・安全衛生の方針に「行政の調査には誠実に協力する」「調査を妨害してはならない」と明記します。

・事故・けがの報告手続きに、重大な病気や有害物質への曝露も報告対象として加えます。

・Handbook とは別に、立入検査への対応計画(誰が対応するか、誰に連絡するか)を作成し、管理職を研修します。

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■ 5. 差別防止・採用に関する3つの法律

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◆ AB 2563:差別禁止法の「性別」の定義が広がる

【法律が求めること】

・カリフォルニア州公正雇用住宅法(Fair Employment and Housing Act)は、現在「性別」に妊娠、出産、授乳、関連する症状、性自認、性表現を含めています。

・2027年1月1日から、次の内容も明記されます。

 - 割り当てられた性別または性別区分(女性、男性、ノンバイナリーを含む)

 - 性別に関する固定観念にどの程度当てはまるか

 - 性別適合ケア(gender affirming care)と関連する医療の利用

 - 妊娠や関連する症状についての意思決定、医療へのアクセス、薬・機器・サービスの利用

 - 性的特徴の多様性(インターセックスなど)

【Employee Handbook の変更点】

・差別・ハラスメント・報復の禁止方針と、雇用機会均等(Equal Employment Opportunity)の方針にある「性別」の定義を更新します。これは必須の変更です。

◆ AB 2495:在留資格に関連する不当な行為の禁止が広がる

【法律が求めること】

・現行法は、権利を行使した労働者への報復として、雇用主が在留資格に関連する不当な行為をすることを禁止しています。

・AB 2495 は、在留資格(そう見なされている場合を含む)に関連する次の行為を明確に禁止します。

 - 権利の行使を思いとどまらせるような行為

 - 本人がしない権利を持つ行為をさせるように仕向ける行為

・実際の在留資格は責任の判断に関係ありません。

・保護の対象は、応募者、従業員、元従業員です。

【Employee Handbook の変更点】

・報復禁止の方針に「在留資格に関する言動で、権利の行使を妨げない」と追記することをおすすめします。

・管理職に、在留資格に触れる発言をしないよう周知します。

◆ AB 2155:仲裁合意の有効性に関するルールが変わる

【法律が求めること】

・カリフォルニア州仲裁法(California Arbitration Act)に、連邦仲裁法(Federal Arbitration Act)の適用除外が取り込まれます。

・取り込まれる適用除外には、州をまたぐ輸送に従事する労働者と、性的暴行・セクシュアルハラスメントの争い(Ending Forced Arbitration of Sexual Assault and Sexual Harassment Act)が含まれます。

・州の仲裁法だけが適用される場合でも、これらの適用除外が働きます。その結果、一部の仲裁合意は無効になります。

【Employee Handbook の変更点】

・仲裁合意書(Arbitration Agreement)を使っている会社は、弁護士に見直しを依頼してください。

・Handbook に仲裁の条項がある場合は、合意書の内容と合わせて更新します。

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■ 6. 廃案になった法案:AB 1940(更年期の保護)

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ニューサム知事は AB 1940 に拒否権を行使し、この法案は廃案となりました。この法案は、カリフォルニア州公正雇用住宅法(Fair Employment and Housing Act)の「性別」の定義に、更年期前後の状態と関連する症状を明記するものでした。

知事は拒否の理由として、「現行法がすでにこれらの状態を保護している」「訴訟が急増するおそれがある」と説明しています。来年、新しい知事のもとで再び提出される見込みです。なお、同じ「性別」の定義を広げる AB 2563 は署名されましたが、更年期はその中に含まれていません。

【Employee Handbook の変更点】

・変更は必要ありません。ただし、知事自身が「現行法で保護されている」と述べています。更年期に関する相談や配慮の申し出は、これまでどおり慎重に対応してください。

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