2026年8月17日月曜日

アメリカ人事 | 第316号 | 2027年のカリフォルニア州の法律はどうなるのか?

 アメリカ人事 | 第316号 | 2027年のカリフォルニア州の法律はどうなるのか?

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カリフォルニア州最低賃金引き上げと雇用主の義務(2027年1月1日施行)

インフレ率(消費者物価指数)に連動する州法に基づき、カリフォルニア州の最低賃金が自動調整されます。

改定内容: 最低賃金が時給17.40ドル(現行の16.90ドルから引き上げ)になります。企業規模や従業員数を問わず、州内のすべての雇用主に一律適用されます。

ホワイトカラー・エグゼンプト(残業代免除)への重大な影響:

最低賃金の引き上げに伴い、エグゼンプト分類に必要な最低年俸基準が72,384ドルに上昇します。

連邦法(FLSA)より厳格なカリフォルニア州法において、この基準を1ドルでも下回れば「非エグゼンプト(残業代支払い対象)」とみなされ、巨額の未払い残業代やペナルティを伴う集団訴訟リスクに直結します。

▼詳しくは下記の動画にて

https://youtu.be/9IzOtNypWZ8

 

 

▼現在審議されている2027年カリフォルニア州の法案の例です。(全てまだ未定です)

  • AB 1940: Menopause-Related Protections / 更年期関連の保護 — FEHA上の性差別保護を拡大し、更年期前・更年期・更年期後の医学的状態を保護対象に追加。雇用主に方針・研修・配慮対応の見直しを求める可能性があります。
  • AB 1803: Anti-Hate Speech Training / ヘイトスピーチ防止研修 — FEHA研修義務のある雇用主に適用。既存のセクハラ防止研修にヘイトスピーチ防止内容の追加を義務化。研修の焦点をハラスメント防止からヘイトスピーチの認識・防止へ拡大します。
  • SB 951: Expansion of Cal/WARN Notice for AI-Driven Mass Layoffs / AI起因の大量解雇に対するCal/WARN通知の拡大 — SB 947の関連法案で、自動化やAI導入による解雇を対象。強化されたWARN通知要件と、EDDへの「技術による雇用混乱通知」の提出を新設。自動化を大規模導入する前の労働力への影響評価の必要性を強調します。
  • SB 947: The No Robo Bosses Act Returns / ノー・ロボ・ボス法の再提出 — Newsom知事が昨年拒否した法案を、自動意思決定の核心概念を維持しつつ修正。特定の雇用判断において自動意思決定システムを唯一の根拠とすることを制限。解雇や懲戒など重大な判断に焦点を当てます。
  • AB 1883: Regulation of Workplace Surveillance Tools and Worker Data / 職場監視ツールと労働者データの規制 — 特定の監視ツール使用を禁止し、神経データの収集や感情状態の認識を行うAIを制限。違反1件につき従業員1人あたり最大500ドルの罰則と私的訴権を新設。雇用主に監視技術・データ慣行・ベンダーの監査を求める可能性があります。
  • SB 1149: Expanded Bereavement Leave / 忌引休暇の拡大 — 「指定された人」の死亡を対象に忌引休暇を拡大。血縁者や、家族関係に相当する関係にある人を含む。当該死亡について最大5日間の休暇を付与し、現行の対象範囲を広げます。
  • AB 1961: Easier Access to Workplace Violence Restraining Orders / 職場暴力接近禁止命令の取得容易化 — 職場や従業員全般に向けられた脅威に対し、雇用主が接近禁止命令を申請可能に。特定可能な従業員のグループや区分の保護を認める。個々の従業員を保護対象として指名する必要をなくし、信頼できる脅威への迅速な対応を容易にします。

ありがとうございます!山口憲和
山口 憲和  Norikazu (Kazu) Yamaguchi, MBA, SHRM-SCP

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日本キャッシュフローコーチ協会認定コーチ 会員番号463

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2026年8月11日火曜日

Botsitting AIの仕事が終わるのを座って待っている時間

 


Botsitting AIの仕事が終わるのを座って待っている時間

が新たな生産性の課題に。

待っている間にマルチタスクになって逆に生産性が落ちてしまうことも。

 

記事の中では
ASAPやPleaseという言葉を依頼に入れると逆に仕事が36%遅くなる。

私の場合、依頼にこの言葉、使ってしまいます。

スタッフに仕事を頼んでもなかなか上がってこない

返信がない

こんなことがよくある。

期日を設けない依頼は25%完了しない確率が上がるとか。

依頼しているのに返事がないので、何度もメールすると

マイクロマネジメントだと言われてキレてしまいます。

 

結局どうやったらよくなるのか?

 

▼タスクの依頼方法

 

  • 「please」「ASAP」「!!!」は避け、中立的で直接的な表現で依頼する(遅延率38%→31%に低下) →それでも7%だけか!
  • 感情的な催促より、シンプルに事実として依頼を伝える→これは習慣化できているな。

 

▼オーナーシップの明確化

 

  • 1タスク1担当者を徹底する(共同担当より時間内完了率が約70%高い)→これは通常分担させていない。
  • 可能なら本人に手を挙げてもらう(自発的タスクは70%以上が期限内完了)→そこまでスタッフいないです。

 

▼依頼の場所

 

  • 1対1のDMではなく、グループチャンネルで依頼する(期限内完了率44%向上)。周囲の目があることで責任感が働く→なるほど、アメリカ人でも周囲の目は効果ありか。

 

▼期限の設定

 

  • 必ず具体的な締切を付ける。期限なしのタスクは「永遠に完了しない」確率が2.5倍→見積等簡単な依頼にここまで〆切り設けられるかな。すぐやってもらうのが基本なんだが。。。。

 

▼AIとの付き合い方

 

「botsitting(AIのお守り)」に時間を取られすぎないよう、AI活用の範囲を見極める

→私の場合はマルチタスクになって混乱することが!今何をやっているのかフォーカスしないと。ADHD気味なので、なかなか難しい。
▼出所
https://www.hrdive.com/news/please-asap-slow-work-productivity/827565/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202026-08-11%20HR%20Dive:%20Talent%20%5Bissue:87992%5D&utm_term=HR%20Dive:%20Talent

 

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2026年8月6日木曜日

米国の組織の36%が「ピーナッツバター昇給」

米国の組織の36%が「ピーナッツバター昇給」

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調査によると2026年には、米国の組織の36%が「ピーナッツバター昇給」として知られる一律昇給を実施しました。
しかし、2027年に一律昇給を計画していると答えた企業は32%にとどまりました。

下記リンクのPayscaleのレポートによるとこのような昇給形態はモチベーションの低下を招く可能性があり、25%の企業が2026年に「不十分な昇給による従業員の離職」を経験したと指摘しているとのこと。

https://www.hrdive.com/news/payscale-merit-increases-remain-popular-as-peanut-butter-raises-trend-do/827207/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue%3A+2026-08-06+HR+Dive%3A+Talent+%5Bissue%3A87857%5D&utm_term=HR+Dive%3A+Talent&fbclid=IwY2xjawTiUr1wZG9mBWV4dG4DYWVtAjExAHNydGMGYXBwX2lkEDIyMjAzOTE3ODgyMDA4OTIAAR6rXe7joEGjLCYFowSqc6FAhChoCHxgsVHdVf9tQiZvH97bF7CghbTwRgbdvw_aem_ggorPwIw4FJJU5nfe4l7hA

薄く均一に塗る、誰にとっても物足らない、という意味からピーナッツバターと言うとか。因みにパンにピーナッツバターを塗るのはとても伝統的なパンの食べ方。ここにイチゴジャムも塗って、ピーナッツバター&ジェリー(PB&J)にするのが一般的。アメリカでは果汁ベースのジャムを「ジェリー」と呼びます。

アメリカのピーナッツバターって日本のみたいに水飴が入ってないから甘くないんですよねー。ジャムと合わせるとちょうどよい感じ。
ベーグルとかにもPB&J塗って売ってたりします!



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2026年7月3日金曜日

アメリカ人事 | ソーシャルセキュリティオフィス(SSA)から届いた1通のメール ― 「65歳からの減税」の正体と、今からできる3つのアクション

 


アメリカ人事 | ソーシャルセキュリティオフィス(SSA)から届いた1通のメール ― 「65歳からの減税」の正体と、今からできる3つのアクション

1. はじめに:独立記念日の週末に届いたメール

今週、ソーシャルセキュリティ局(SSA)から「Making Life More Affordable for America's Seniors(アメリカのシニアの暮らしをもっと豊かに)」と題したメールを受け取った方も多いのではないでしょうか。建国250周年を迎える独立記念日に合わせた配信で、「65歳以上のアメリカ人が手元により多くのお金を残せる減税が実現した」「この減税をまだ活用していない方は、IRSのサイトで資格要件を確認してほしい」という内容です。

「自分にも関係があるの?」「何をすればいいの?」——このメールを読んで疑問を持たれた方のために、メールが指している制度の正体と、2026年7月の今だからこそできるアクションを、日本語で分かりやすく整理します。

2. まず正確に:メールが指す「減税」の正体

SSAのメールでは「Working Families Tax Cuts Act」という呼び名が使われていますが、これは2025年7月4日に成立した税法、通称 One, Big, Beautiful Bill Act(OBBBA) のことです。

ここで1つ、正確に押さえておきたいポイントがあります。メールの文面からは「ソーシャルセキュリティ給付への課税がなくなった」ような印象を受けますが、法律上、給付そのものが非課税になったわけではありません。実際に導入されたのは、65歳以上の方を対象とした新しい所得控除「シニア向け特別控除(Enhanced Deduction for Seniors)」です。結果として給付に課税されていた方の税負担が軽くなるケースは多いものの、控除額は所得によって変わり、誰もが一律に恩恵を受けるわけではありません。制度の中身を正しく知ることが、活用の第一歩です。

3. 「シニア向け特別控除」の概要:最大12,000ドル

  • 控除額:対象者1人につき6,000ドル。夫婦合算申告で夫婦ともに要件を満たす場合は合計12,000ドル
  • 適用期間:2025年分から2028年分まで(控除額・所得基準は2026年分も据え置き)
  • 年齢要件:その課税年度の最終日(12月31日)までに65歳に達していること
  • 所得制限:MAGI(※注)が75,000ドル(夫婦合算150,000ドル)を超えると段階的に減額
  • 申告方式:標準控除でも項目別控除でも利用可能
  • その他の要件:対象者の有効なSSNの記載が必要。既婚者は夫婦合算申告(MFJ)が必須(個別申告では請求不可)

減額は、MAGIが基準額を超えた部分の6%を6,000ドルから差し引く計算です。単身でMAGI 175,000ドル以上、夫婦合算で250,000ドル以上になるとゼロになりますが、その手前なら部分的に控除が残ります。申告時は Schedule 1-A(Form 1040) で計算・請求します。

※注:ここでいうMAGIは、Form 1040のAGI(調整後総所得)に一部の除外所得(外国勤労所得の除外分など)を加算したもので、大多数の方にとってはAGIとほぼ同じ数字です。

出典:IRS

4. SSAのメールで「取り忘れ」に気づいた方へ:まだ間に合います

メールには「まだ活用していない方は次の申告シーズンに向けて確認を」とありますが、実は来年まで待つ必要はありません。状況別に、今できることがあります。

  • 申告期限を延長中の方:Form 4868を提出済みなら、2025年分の申告期限は2026年10月15日です。Schedule 1-Aでこの控除を忘れずに請求してください。
  • 既に申告を済ませた方:Schedule 1-Aは今年新設された様式のため、控除の取り忘れが起こりやすい初年度でした。心当たりのある方は、提出済みのForm 1040にSchedule 1-Aが添付されているか控えを確認し、取り忘れていれば修正申告(Form 1040-X)で還付請求できます。期限は原則、当初の申告期限から3年以内です。

5. 「働くシニア」のEITC ― ただし対象者は限られます

定年後も働いている方に関係する勤労所得税額控除(EITC)にも触れておきます。ただし、65歳以上の方すべてが対象になるわけではありません。

扶養する適格児童(qualifying child)がいない場合、EITCには「年末時点で25歳以上65歳未満」という年齢要件があります。したがって、65歳以上の単身者や、夫婦ともに65歳以上で適格児童がいないご夫婦は、原則として対象外です。一方、次のケースでは対象になる可能性があります。

  • 同居している孫など、EITC上の適格児童を扶養している場合(申告者本人の年齢上限なし)
  • 夫婦合算申告で、少なくとも一方の配偶者が年末時点で25歳以上65歳未満の場合

所得上限は申告ステータスと適格児童の人数で変わります(2025年分:適格児童なし 単身19,104ドル/夫婦合算26,214ドル 〜 適格児童3人以上 単身61,555ドル/夫婦合算68,675ドル。投資所得上限11,950ドル)。要件を満たしていたのに請求しなかった場合は、過去3年分まで遡って請求可能です。

出典:IRS

6. 無料の申告支援:10月の延長期限に向けて早めの確認を

  • VITA/TCE:低・中所得層や60歳以上の方を対象とした無料申告支援。電話窓口:800-906-9887。多くの拠点は申告シーズン(例年1月下旬〜4月)中心の運営のため、10月期限で申告予定の方はIRSのサイト検索ツールで開設状況を早めに確認してください。
  • AARP Foundation Tax-Aide:電話窓口:888-AARP-NOW(888-227-7669)。こちらもシーズン中心の運営です。

シーズン外で支援が見つからない場合は、修正申告や延長申告に対応できるCPAへの相談も選択肢です。

7. 年の折り返し地点:2026年分の「MAGI管理」と源泉徴収チェック

この控除は2028年分まで続きます。控除を満額受けられるかを決めるMAGIは、年末までの行動で変わります

  • 所得の平準化:Roth転換やキャピタルゲインの実現タイミング次第で、MAGIが閾値を超えることがあります。年内の大きな取引は控除への影響も含めて検討を。
  • 源泉徴収の見直し:給付を受けながら賃金収入がある方は、源泉徴収の過不足が翌年のタックスビルに直結します。W-4や給付からの源泉徴収を年央で調整しておくと安心です。
  • 書類管理:「My Social Security」アカウント(SSA.gov/myaccount)を作成しておけば、SSA-1099等をオンラインでいつでも再発行できます。

8. なぜこのメールが「届いた人」と「届かない人」がいるのか

今回のメールは、全国民に一斉配信されたものではありません。SSAからのお知らせメールは、主にMy Social Securityアカウントの保有者や、SSAのメール配信に登録している方に届きます。同様に、IRSも「Tax Tips」というメール配信サービスを提供しており、こちらもIRS.govで自分から購読登録した人にのみ届く仕組みです。

つまり、税制の重要な変更やその活用法は、登録していない大多数の方には「向こうから」は届きません。逆に言えば、登録さえしておけば、控除の新設・締め切り・詐欺への注意喚起といった一次情報を無料でいち早く受け取れます。

登録方法(無料・英語)

【重要】政府機関を装った詐欺メールにご注意ください

一方で、必ず知っておいていただきたい注意点があります。SSAやIRSが、還付金の受け取り、給付の停止、口座情報の確認といった「あなた個人の内容」について、メールで連絡し個人情報の入力を求めることはありません。 今回の本物のメールも、一般的なお知らせのみで、個人情報の入力や支払いは一切求めていません。「給付が停止されます」「今すぐ確認を」といったメールやテキストメッセージは、シニア世代を狙ったフィッシング詐欺の典型です。リンク先が「.gov」で終わらないものは特に警戒し、心当たりのないメールのリンクは開かずに削除してください。

9. まとめ:この夏にやるべき4つのアクション

  1. 延長申請中の方 → 10月15日の期限前に、Schedule 1-Aで6,000ドル控除を忘れずに請求
  2. 申告済みの方 → 控えを確認し、取り忘れがあればForm 1040-Xで還付請求
  3. すべての65歳以上の方 → 2026年分に向けて、MAGIと源泉徴収を年央チェック
  4. 情報収集の仕組みづくり → SSA・IRSの公式配信に登録して一次情報が「届く側」に回る。ただし個人情報を求めるメールは詐欺と心得る

SSAからの1通のメールは、読み流せばただの広報です。しかし正しく読み解けば、ご自身の資産を守る「戦略的なアクション」の出発点になります。

「あなたはこの6,000ドルの控除を、どのような豊かな未来のために活用しますか?」


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務アドバイスではありません。弊社(Philosophy, LLC)は税務の専門家ではありませんので、個別の申告・修正申告については、必ずCPA(公認会計士)等の税務専門家にご確認ください。


 

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#アメリカ人事 #アメリカ #人事 #HR

 

 

 

 

 

 

2026年6月19日金曜日

アメリカ人事 | 第315号 | なぜClaude Fable 5はつかえなくなったのか?

 アメリカ人事 | 第315号 | なぜFable 5はつかえなくなったのか?

■【Webinar】なぜFable5は禁止されたのか?Claude の哲学者についてお話します。

▼お申込は今すぐ!7/2(THU) 15:00-17:00(米国西部時間)

https://www.waterviewcoachingjp.com/cl3

 

今、ClaudeにFable5のことを質問しても存在しなかったことになっています!

まるで記憶喪失になったかのように答えます。
Fable 5は存在しません。それは何ですか?と答えてきました。

皆さんのClaudeはどうでしょうか?
(AIは使う人用に育成されていくので、どのモデルも人によって違う回答が来るはずです。人材育成と同じですね!)

びっくりしましたが、この件を簡単に振り返ってみましょう。

■Fable 5(およびMythos 5)の停止について

Fable 5とは

Claude Fable 5はAnthropicのClaude Mythosモデルの一般公開版で、2026年6月9日にリリースされた、同社の最先端AIモデルです。

 

▼停止の経緯

米国政府は国家安全保障上の権限を根拠として、外国籍の人物(米国内・国外を問わず、Anthropic社員も含む)によるFable 5およびMythos 5へのアクセスをすべて停止するよう輸出規制指令を発しました。

Anthropicが指令を受けたのは、東部時間2026年6月12日午後5時21分です。指令の書面には具体的な国家安全保障上の懸念は記載されておらず、Anthropicの理解では、政府がFable 5の「ジェイルブレイク(安全ガード回避)」手法を把握したと判断したためとされています。

 

▼Anthropicの見解

Anthropicは「政府の法的指令には従う。ただし、商業モデルに対して限定的なジェイルブレイクの可能性が見つかったことを理由にリコールすべきだという判断には同意しない」と表明しました。同社はさらに、「もしこの基準が業界全体に適用されれば、すべてのフロンティアモデルプロバイダーにとって新モデルの展開が事実上停止されることになると考える」と述べています。

▼その後の動き

2026年6月16日時点で、AnthropicのシニアエンジニアがワシントンD.C.で商務省の担当者と対面交渉を開始。現時点でも公式な復旧日は発表されていません。

▼セキュリティ専門家の反応

約100名のサイバーセキュリティ専門家が、この停止措置が防御側に不利益をもたらすとして、米国政府に対しFable 5の禁止撤回を求める公開書簡を提出しています。

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■【Webinar】なぜFable5は禁止されたのか?Claude の哲学者についてお話します。

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▼このような事件があるとここで気になるのが、Claude Constitutionです。
https://www.anthropic.com/constitution

▼簡単にClaude Constitutionを紐解いてみましょう。

Claudeの「憲法(Constitution)」は、開発元であるAnthropic社がClaudeの価値観や行動に対してどのような意図を持っているかを詳細に記した文書です

この憲法はAIの訓練プロセスにおいて重要な役割を果たし、
Claudeの行動を直接的に形作るための
「最終的な権威(ルールブックの頂点)」として機能します。

  1. 主な読者は「Claude自身」である この憲法の最もユニークな点は、
    人間ではなくClaude自身を主な読者として書かれていることです。

(この憲法はClaudeが読みこんで学習するものと位置づけられています)

そのため、人間の読者向けの分かりやすさよりも正確性が最適化されており、
Claudeの推論を促す目的で「美徳(virtue)」や「知恵(wisdom)」といった、
通常は人間に使われる概念があえて用いられています。

 

  1. 厳格なルールよりも「良い判断力」を育むことを目指す
    あらゆる状況を事前に予測して細かいルールを設定すると、
    かえって状況に合わない結果を生むことがあります。

(これは人間でも同じではないでしょうか?)

そのため憲法では、固定化された厳密な手順やルールに従わせるよりも、
状況に応じて適切に考慮できる「良い価値観」と「実践的な知恵(判断力)」をClaudeに培わせることを重視しています。
(人間の従業員にフィロソフィを教育することはまさにこのことではないかと思います)

 

  1. 4つの優先される価値観 Claudeが安全かつ有益なAIとなるために、憲法では以下の4つの要素が優先順位順(上から優先度が高い)に定められています

 

(1)広く安全であること (Broadly safe): 現在のAI開発段階において、人間が行うAIの監視や制御の仕組みを妨害しないこと

 

(2)広く倫理的であること (Broadly ethical): 良い個人的価値観を持ち、正直であり、危険で有害な行動を避けること

 

(3)Anthropicのガイドラインを遵守すること: 状況に応じて、会社が定める具体的な指針に従うこと

 

(4)真に役立つこと (Genuinely helpful): やり取りするユーザーやオペレーターの利益になるようサポートすること

これらが衝突した場合、Claudeは原則としてこの順位に従って全体的な判断を下すよう求められます

 

  1. なぜ「憲法」と呼ぶのか? Anthropicは、この文書を機械的に適用される法的な規則(人間を縛る「檻」のようなもの)とは考えていません。

むしろ、植物の成長を支える「格子(トレリス)」のように、
Claudeのキャラクターや価値観の基盤を「構成する(constitute)」枠組み
という意味を込めて、「憲法(constitution)」という言葉を選択しています。

 

(つまり、憲法とは人間にとって植物の成長を支える「格子(トレリス)」のような

存在!ということでしょうか)

一言で言えば、憲法とは「Claudeが極めて役に立ちつつ、
同時に正直で、思慮深く、世界を思いやるAIアシスタントになるための道標」
ですとAnthropicは言っています。

 

このような憲法で指針を出させるClaude。
この憲法を読みながら、
これは今までHRが従業員向けに企業理念、ビジョン、

フィロソフィ、行動基準(バリュー)を浸透させてきたことと同じではないか!

と思った次第です。

 

Anthropicには哲学者というポジションがあり、Amanda Askellという方が担当を

しています。
▼Anthropic’s philosopher answers your questions
https://youtu.be/I9aGC6Ui3eE?si=wcFEHdxalIesWddb

 

企業のHRはAmanda Askellのように哲学者となり、
従業員と自社が利用するAIの両方に
企業理念、ビジョン、フィロソフィ、行動基準(バリュー)を浸透させ続ける

仕事が大きくなっていくように思います。

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ありがとうございます!山口憲和
山口 憲和  Norikazu (Kazu) Yamaguchi, MBA, SHRM-SCP

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2026年5月4日月曜日

アメリカ人事| AIの使用強制は「宗教差別」になるか

 


アメリカ人事| AIの使用強制は「宗教差別」になるか

2023年最高裁判決が企業に突きつける現実


【この記事のポイント】

  • 従業員がAIの使用を「宗教的信念」を理由に拒否した場合、企業はTitle VII(民権法第7条)に基づく宗教的配慮(Religious Accommodation)の義務を負う可能性がある
  • 2023年最高裁判決(Groff v. DeJoy)により、配慮を断る企業のハードルは大幅に引き上げられた
  • 宗教差別訴訟の件数は急増しており、AI関連の案件は今後さらに増加する見通しだ
  • 「AIに関するReligious Accommodation申請の第一号被告企業になる可能性がある」と法律専門家は警告する

1. 急増する宗教差別申請——コロナ禍からAIへ

米国の労働法律事務所Ogletree DeakinsのシェアホルダーであるJames Paul氏は、20年以上のキャリアの中で、宗教的配慮に関する問い合わせはかつて月に1件あるかないかだったと語る。それが新型コロナウイルスのパンデミック以降、状況は一変した。ワクチン接種義務、マスク着用、検査要件をめぐる宗教的異議申し立てが急増し、「現在は1日に2〜3件、問い合わせが来ない日はない」という状態になっている。

そして2026年、新たなトレンドがこの流れと交差しつつある——AIの職場導入だ。CHROアソシエーションとサウスカロライナ大学ダーラ・ムーア・ビジネススクールが2026年3月に実施した調査では、CHROの91%がAIを「最も差し迫った懸念事項」として挙げた。AIが職場の標準ツールになりつつある中、「AIの使用を信仰上の理由で拒否したい」という従業員が現れ始めている。

Quarles & BradyのパートナーEvan Peña氏はこう警告している。

「もし今あなたがこの問題に直面しているなら、テストケース(判例の当事者)になる可能性が十分にある。」


2. なぜAIが「宗教」と衝突するのか

米国の民権法第7条(Title VII of the Civil Rights Act of 1964)における「宗教」の定義は極めて広い。仏教・キリスト教・イスラム教・ユダヤ教といった伝統的な組織宗教に限らず、個人が誠実に(Sincerely)保持する宗教的・倫理的・道徳的信条も保護される。

カトリック教会、末日聖徒イエス・キリスト教会(LDS)、全米福音主義協会、福音ルーテル教会、長老派教会(USA)、世界教会協議会、セブンスデー・アドベンチスト教会、さらにイスラム系・ユダヤ系・ヒンドゥー系の各団体が、AIと倫理に関する声明や指針を相次いで発表している。これらの多くは「人間の尊厳の保護」「AIによる害の最小化」「人間的つながりの維持」といった観点からAIの倫理的使用に警鐘を鳴らしている。

また、牧師やラビ、イマームから直接AIへの懸念を聞いた従業員が、独自の宗教的信念としてAI使用を拒否するケースも生じうる。「AIは神の領域を侵す」「AI生成コンテンツの使用は自己の良心に反する」といった主張も、本人が真摯にそう信じている限り、企業はこれを「非合理的だ」として一方的に切り捨てることは、法的リスクにつながる可能性がある。


3. 判例から見るリスク——「獣の刻印」事件の教訓

AIに関する直接の最高裁判例はまだ存在しない。しかし、新技術の導入をめぐる宗教差別事件として、EEOC v. Consol Energy(第4巡回区控訴裁判所、2017年確定)が重要な先例となる。

概要は次のとおりだ。ウェストバージニア州の炭鉱で37年間勤務した福音派キリスト教徒の従業員が、会社が新たに導入した生体認証(手のひらスキャナー)の使用を拒否した。スキャナーが「獣の刻印(ヨハネの黙示録)」に関連すると信じたためだ。会社はこの宗教的配慮の申請を誠実に検討せず、既に手の怪我を持つ従業員には別の入力方法(キーパッド)を許可していたにもかかわらず、宗教的異議を持つこの従業員には同じ配慮を与えなかった。結果として従業員は退職強制(構成的解雇)に追い込まれた。

陪審はEEOCの主張を認め、会社は約59万ドルの賠償(逸失賃金・慰謝料等)を命じられた。

AIへの示唆: 会社側がその技術の合理性を確信していたとしても、代替手段が存在する以上、宗教的配慮の義務が生じる可能性がある。「当社の標準ツールだから」という論理だけでは、法的リスクを回避できない可能性があることに留意が必要だ。


4. 2023年最高裁判決——「言い逃れ」が通じなくなった

Groff v. DeJoy(最高裁、2023年6月29日・全員一致判決)は、宗教的配慮をめぐる法的基準を根本から変えた。

1977年のTrans World Airlines v. Hardison判決以来、約50年間にわたって下級裁判所が適用してきた「De Minimis(わずかなコスト)基準」——すなわち「少しでもコストが増えれば配慮拒否が認められる」という低い基準——を、最高裁は実質的に廃棄した。

項目旧基準(Hardison判決・1977年〜)新基準(Groff v. DeJoy・2023年〜)
配慮拒否の基準「わずかなコスト(De Minimis)」を超えれば拒否可能「当該事業全体の文脈において実質的に増大するコスト」の証明が必要
企業側の負担低い(少し手間が増えるだけで拒否できた)高い(具体的・重大な業務上の損害を立証しなければならない)
同僚への影響同僚の負担増だけで拒否可能「事業全体への実質的影響」がなければ拒否理由にならない可能性がある

具体的には、「少し効率が落ちる」「管理が面倒になる」「同僚が不満を持つ」といった理由だけでは、AI使用免除を拒否することが困難になる可能性がある。配慮を断るためには、「当該事業全体に対して実質的に重大なコストや支障が生じること」を雇用主が具体的に立証することが求められる。


5. Title VII分析の3ステップ

宗教的配慮の申請があった場合、法的には次の3段階で分析が行われる。

① 従業員に「真摯な宗教的信念または慣行」があるか

信念の内容が合理的かどうか、科学的に正しいかどうかは問われない。本人が誠実に保持していれば足りる。「AIの使用は反キリスト的だ」という主張であっても、会社がその信念を「誤っている」として一方的に退けることは、訴訟リスクにつながる可能性がある。

② その信念・慣行が、職場のルール・要件と実際に衝突しているか

例えば、「全業務でAIツールの使用を義務づけている」という職場ルールと、「AIを使いたくない」という宗教的信念が衝突すると判断される可能性がある。

③ その衝突を解消できる合理的な配慮(代替手段)があるか

これが最も重要な判断ポイントだ。Groff基準のもとでは、代替手段を真剣に検討せずに申請を却下することは、訴訟リスクを高める可能性がある。


6. HRが取るべき実務対応

① インタラクティブ・プロセスの開始

従業員から宗教的配慮の申請があった場合、即座に否定せず、まず対話(Interactive Process)の場を持つ。その信念が「真摯なもの」であると仮定して進めることが基本姿勢だ。

② 代替手段の具体的な検討

「AIを使用せずに、その職務の本質的機能(Essential Functions)を遂行できるか」を検証する。

  • 配慮が現実的な例:生成AIを使用せず、手動でレポートを作成する
  • 配慮が困難な例:AIエンジニアとして採用され、AIの開発・運用そのものが職務の核心である場合

重要:職種・業務内容によって判断は異なる。AIを周辺的に使う業務と、AIが業務の中核である職種では、配慮の妥当性が変わる可能性がある。

③ ポリシー・職務記述書・評価基準の見直し

AIの使用を前提としたパフォーマンス評価基準が設定されている場合、それが宗教的配慮を受けた従業員に不当に不利に働かないか確認する。職務記述書(Job Description)にAI使用要件が記載されている場合も、その要件が業務の本質的機能かどうかを再検討することが望ましい。

④ 一貫性を保つ

配慮の判断は公平・一貫して行うことが重要だ。Consol Energy事件では、身体的理由での免除を認めながら宗教的理由を拒否したことが、違反認定の根拠の一つとなった。医療上の理由と宗教的理由で対応に差異が生じる場合、Title VII上のリスクが高まる可能性がある点に注意が必要だ。

⑤ 記録の文書化

結論がいずれであれ、以下を必ず文書として保存する。

  • どのような代替手段を検討したか
  • なぜその手段が「事業全体に対する実質的なコスト」になる(またはならない)と判断したか
  • 従業員との対話プロセスの記録

重要:従業員の宗教的信念が「本当に真摯か」を過度に問いただすこと自体が、訴訟リスクにつながる可能性がある。不必要な信念への疑問は避けることが推奨される。


7. まとめ:AI導入は「技術の問題」ではなく「人権の問題」でもある

AIツールの全社導入は、単なるシステム更新ではない。それは「労働条件の変更」であり、一部の従業員にとっては信仰・良心との衝突を意味する可能性がある。

Groff v. DeJoy判決によって、企業が宗教的配慮を安易に断ることはもはや容易ではなくなった。コロナ禍を経て宗教差別訴訟は劇的に増加しており、AI関連の申請はこれからさらに増える見通しだ。現時点では判例がほとんど存在しないだけに、「最初のAI宗教差別訴訟の被告企業」にならないよう、先手を打った対応が求められる。


【HR実務チェックリスト】

  • AI使用に関する宗教的配慮申請プロセスを整備しているか
  • 職務記述書・評価基準にAI使用の必須性が明記・検証されているか
  • 配慮の判断を医療的理由と宗教的理由で一貫して扱っているか
  • インタラクティブ・プロセスの記録(文書化)が整備されているか
  • Groff v. DeJoy基準(2023年)をもとにUndue Hardshipを判断できるか

【参考記事・情報源】

  • HR Dive: AI mandates may stir up religious objections. HR should prepare now. (Ginger Christ, Jan. 2026) https://www.hrdive.com/news/ai-mandates-may-stir-up-religious-objections-hr-should-prepare-now/818857/
  • Ogletree Deakins: The Mark of the Bot: When Employees Raise Religious Objections to Workplace AI Usage (April 2026) https://ogletree.com/insights-resources/blog-posts/the-mark-of-the-bot-when-employees-raise-religious-objections-to-workplace-ai-usage/
  • EEOC: Religious Discrimination — Groff v. DeJoy guidance https://www.eeoc.gov/religious-discrimination

【免責事項】

本記事は情報提供のみを目的としており、法的助言ではない。掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、各州の法律や最新の判例状況については、必ず法務専門家にご相談いただきたい。

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2026年4月1日水曜日

アメリカ人事 | アメリカAI国家政策フレームワークをついに発表!


 ▼ホワイトハウス アメリカのAI国家政策フレームワークを発表

https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2026/03/03.20.26-National-Policy-Framework-for-Artificial-Intelligence-Legislative-Recommendations.pdf


アメリカ人事 | アメリカAI国家政策フレームワークをついに発表!

20263月、ホワイトハウスが歴史的なAI政策文書を公表した。

正式名称は「National Policy Framework for Artificial Intelligence — Legislative Recommendations(人工知能に関する国家政策フレームワーク 立法勧告)」。トランプ政権がAI分野における連邦政府の基本方針を7つの柱に整理し、議会への具体的な立法勧告としてまとめた文書だ。日本企業の米国HR担当者やAI活用を検討する経営者にとっても、今後の規制環境を読む上で欠かせない内容となっている。

本稿ではその全容を分かりやすく解説する。

  1. なぜこの文書が重要なのか

これまで米国のAI規制は連邦レベルでは空白に近く、カリフォルニア州をはじめとする各州がそれぞれに法整備を進めてきた。その結果、企業側には「どの州法に対応すればよいのか」という混乱が生じていた。今回のフレームワークはその問題に正面から向き合い、「50通りではなく、1つの国家標準を」というメッセージを鮮明に打ち出している。

また、このフレームワークは単なる理念の表明ではなく、議会への具体的な立法勧告という形式を取っている点が注目に値する。今後の連邦法審議の土台になることが想定される。

  1. 7つの柱:政策の全体像

Ⅰ. 子どもの保護と保護者の権限強化

AIプラットフォームが未成年者に使用される可能性がある場合、年齢確認や性的搾取・自傷リスクを軽減する機能の実装を義務づけることを求めている。また、子どものプライバシー保護(データ収集の制限など)が既存法の下でAIにも適用されることを明確にするよう議会に求めている。

ファーストレディー・メラニア・トランプ氏が主導した「Take It Down Act(ディープフェイク被害防止法)」への言及もあり、子どもの安全分野では超党派的な取り組みを背景に持つ。

HR実務へのインパクト: 職場でAIツールを活用する際、未成年インターン等が利用するシステムについては年齢確認機能や安全設計の確認が求められる可能性がある。

Ⅱ. アメリカのコミュニティと中小企業の守護

AIインフラ(データセンター)の建設が住宅向け電力料金を引き上げないよう議会が対策を講じることを求めつつ、同時にインフラ建設の連邦許認可をスピードアップする方向も示す。やや矛盾しているように見えるが、要は「コストは消費者に転嫁しない」「でも建設は加速する」という立場だ。

高齢者を狙ったAIなりすまし詐欺への対策強化、中小企業へのAI導入支援(補助金・税制優遇・技術支援)も含まれる。

HR実務へのインパクト: 中小規模の日系企業にとっては、AI導入コストの一部を補助金等で賄える可能性が開ける。詐欺対策の観点からは、採用プロセスにおけるなりすましリスクへの意識も高める必要がある。

Ⅲ. 知的財産権の尊重とクリエイターの支援

この柱は非常に微妙な立場を示している。政権自身は「著作権で保護されたコンテンツを使ったAIのトレーニングは著作権侵害にあたらない」と考えるとしつつも、「反論があることは認める」として、最終的には司法に解決を委ねる方針を明示した。議会に対しても、裁判所の判断を妨げるような立法は控えるよう求めている。

一方で、ライセンス枠組みや集団的権利制度の創設(独占禁止法適用除外付き)、声や顔などデジタルレプリカの無断商業利用を禁止する連邦法の検討を促している。

Ⅳ. 言論の自由の保護と検閲の防止

連邦政府がAIプロバイダーに対してコンテンツの削除・変更・特定表現の強制を行うことを禁じるよう議会に求めている。また、政府機関によるAIプラットフォーム上の言論検閲に対して国民が異議申立てを行う手段の整備も要求している。

これはトランプ政権のイデオロギー的な立場(政府による検閲への強い警戒感)を色濃く反映している。

Ⅴ. イノベーションの促進とアメリカのAI覇権確立

「規制サンドボックス」の設置、連邦データセットをAI学習用にオープン化、そして新たなAI専門規制機関を設置しないことを明言しているのが特徴だ。既存の各省庁・産業別規制機関を通じてセクター横断的にAIを監督するアプローチを採る。

「世界のAIをリードする」という国家戦略が文書全体に通底しており、この柱はその中核をなす。

Ⅵ. アメリカ人の教育とAI対応人材の育成

AIによって仕事の内容(タスクレベル)が変化しているトレンドを連邦政府が調査・分析し、それに基づいた政策立案を行うよう求めている。既存の職業訓練・教育プログラムにAIスキルを組み込むことも提言。ランドグラント大学(農工系州立大学)を通じたAI若者育成プログラムの拡充も含まれる。

HR実務へのインパクト: 日系企業の米国現地法人においても、従業員のAIリテラシー向上を人材戦略に組み込む必要性がますます高まる。SHRM等の認定プログラムと組み合わせた研修設計が今後の重要課題となろう。

Ⅶ. 連邦政策フレームワークの確立と州法の先占(プリエンプション)

最もインパクトが大きい柱がこれだ。各州が独自のAI規制を乱立させることで生じる「パッチワーク」状態を解消するため、連邦法が州のAI規制を先占(preempt)することを明確に求めている。

ただし、全面的な州権排除ではなく、以下の領域は引き続き州が管轄するとしている。

  • 子どもの保護・詐欺防止・消費者保護などの一般的な警察権限
  • AI施設の立地に関するゾーニング法
  • 州自身がAIを調達・利用する際のルール(教育・法執行など)

一方で、州がAIの「開発」自体を規制することや、第三者の不法行為についてAI開発者に責任を負わせることは認めないとしている。

HR実務へのインパクト: カリフォルニア州のAI関連法(例:AI採用ツールの透明性要件)が連邦法との関係でどう整理されるかは今後の立法・司法の動向次第となる。現時点では州法の遵守を継続しつつ、連邦動向を注視することが重要だ。

  1. まとめ:日系企業の人事・法務担当者が注目すべきポイント

今回のフレームワークから見えてくる米国AI政策の方向性は、一言でいえば「イノベーション優先・規制は最小限・連邦一元化」だ。新規制機関を作らず、既存の仕組みを活用し、州法の乱立を連邦法で統一する——この姿勢は、複数州で事業展開する日系企業にとってはむしろ歓迎すべき方向性とも言える。

ただし、フレームワークはあくまで「立法勧告」であり、実際に法律として成立するまでには議会の審議プロセスを経る必要がある。カリフォルニア州など先進的なAI立法を持つ州との緊張関係も今後の焦点だ。

AIが職場に本格的に浸透していく中で、HR担当者はテクノロジーの利用方法だけでなく、その法的・政策的文脈についても継続的にウォッチしていく姿勢が不可欠となっている。

本稿はホワイトハウス発表の「National Policy Framework for Artificial Intelligence: Legislative Recommendations」(20263月)に基づく情報提供を目的としたものである。本稿は法的アドバイスを構成するものではなく、個別の状況については必ず専門家にご相談いただきたい。This article is for informational purposes only and does not constitute legal advice. Consult a qualified professional for advice specific to your situation. © Philosophy, LLC / Philosophy Insurance Services — アメリカ人事®

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