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7月, 2025の投稿を表示しています

アメリカ人事 | EEOCはなぜ訴えられたのか?

トランスジェンダー労働者の差別申立てを「取り合わない方針」が波紋 米国における雇用差別の監督官庁「EEOC(雇用機会均等委員会)」が、トランスジェンダー労働者の保護を拒否したとして提訴された。この問題は、米国における 性の定義と雇用の公平性 をめぐる、極めて重要なテーマである。本来、差別された時のかけこみ寺であるEEOCが訴えられた理由とは?                🔎 背景と経緯 EEOCとは? EEOC(Equal Employment Opportunity Commission)は、1964年公民権法第7編(Title VII)をはじめとした差別禁止法を執行する連邦機関です。差別を受けた労働者はまずEEOCに「チャージ(申立て)」を行い、EEOCが調査や訴訟を通じて救済を図る。 問題の発端 2025年、暫定委員長に就任した アンドレア・ルーカス氏 は、トランプ政権の方針を色濃く反映した「性別=男女のみに限定する」立場を強調し、次のような行動を取った。 トランスジェンダー労働者による差別申立ての受理拒否 州や地方政府との共同調査からの撤退 トランスジェンダー差別をめぐる係争中の訴訟の取り下げ                ⚠️ 問題点 この対応に対し、LGBTQ+支援団体 FreeState Justice が提訴。提訴内容は以下の通り: 法的違反 内容 Title VII 違反 性自認による差別も禁止対象とした最高裁判決(2020年Bostock事件)に反する 憲法修正第 5 条違反 平等保護の保障に反する 行政手続法( APA )違反 正当な手続きを経ないで方針転換を行った                🔮 今後の影響 訴訟の結果次第では、 EEOC の方針が修正される可能性 ? 特に2020年の最高裁判決 Bostock v. Cla...

アメリカ人事 | AI人事活用時に雇用主が今すぐ取るべき3つのアクション

   AI人事活用時に雇用主が今すぐ取るべき3つのアクション AIを活用した人事判断が急速に進む中、昇進、解雇、レイオフの判断にAIを使用する企業が増えている。Resume Builderの調査によると、米国の管理職の94%がAIを部下の人事判断に活用しており、特に昇給、昇進、レイオフ、解雇の判断で多用されている。しかし、多くの管理職がAIの倫理的な活用方法について正式な訓練を受けておらず、AIの判断結果に依存するリスクが高まっている状況だ。 この流れは効率化という点で魅力的だが、企業として法的リスク、社内文化の崩壊、従業員からの信頼失墜を招く可能性があるため、AIを活用する際には慎重な運用が必要である。以下、雇用主が今すぐ取るべき3つのアクションを提案する。 1. AI人事活用のポリシーとガイドラインを策定する まず、AIを用いた人事判断に関する 内部ポリシーと運用ガイドライン を策定する必要がある。 AIは判断の透明性・公平性を担保する可能性がある一方で、誤ったデータやバイアスを学習するリスクが高い。そのため、どのプロセスでAIを活用し、最終判断は誰が行うのかを明確に定め、AIの判断結果のみで解雇や昇進を決定することがないよう運用ルールを作成することが重要である。 2. 管理職にAI活用時の倫理・法的リスクに関する研修を実施する 調査ではAIを活用する管理職のうち、正式な訓練を受けたのはわずか32%であった。AIの判断は従業員の人生を左右する重大な決定であり、その活用には 差別禁止法、プライバシー保護、DEI推進 等、法令遵守および倫理観に基づいた運用が不可欠である。 そのため、管理職向けに「AI活用時の法的留意点と倫理研修」を早急に実施し、AIが判断する基準の妥当性、データバイアス排除の必要性、最終判断時の人間の介入基準について理解させるべきである。 3. AI活用の影響を定期的にモニタリング・監査する AIを用いた人事判断の運用が始まった後も、定期的なモニタリングと監査が必要である。AIが人事判断に偏りを持ち込んでいないか、特定の属性の従業員の昇進が妨げられていないか、レイオフ・解雇の対象に偏りがないかを データ監査の仕組み により定期的に点検することが重要である。 AIが使うデータそのものの精査や、AIによる判断が実際にどのような結...

アメリカ人事 | 第305号|今すぐとりかかる3つのアクション+HRをキャリアにすると$161,608は本当か?

アメリカ人事 | 第305号|今すぐとりかかる3つのアクション+HRをキャリアにすると$161,608は本当か?   第305号【アメリカ人事】月刊フィロソフィ ニュースレターをお届け致します。 このニュースレターを音声対談で!約6分で全体をキャッチ! https://drive.google.com/file/d/1SMRgxr6EXXpAa0i5o5RMoZE9O99Fjnih/view?usp=sharing ※このニュースレターは送信専用です。 お返事は下記メールアドレスまでお願い申し上げます。 山口憲和 yamaguchi@yourphilosohy.net   今月のトピックは? 日本人マネジメントは「やりすぎ」より「やらなさすぎ」が問題である ──文化的知性を育てるために、今こそ“適度にやる”勇気を持つべきである はじめに:西洋式の「やりすぎ」の罠、そして日本はその逆 『Harvard Business Review』の記事「西洋リーダーの4つのやりすぎ」では、グローバルリーダーが文化的知性を持たずに、「自律性」「心理的安全性」「多様性」「透明性」を“やりすぎる”ことで、逆効果を招いている実例が紹介されている。 一方、日本的マネジメントはどうであろうか。日本社会には、調和重視・控えめ・察する文化が根付いており、むしろ「やらなさすぎ」による弊害が生じている可能性が高い。 本稿では、日本人マネジメントがこれまで避けてきたがゆえに機会を逃している4つのテーマに対し、今こそ“適度にやる”べき理由と行動指針を提示する。 ▼続きはこちら https://docs.google.com/document/d/1znBgIKvGPxlWX9GnDdAlkH2TB2h3fNFZ/edit?usp=sharing&ouid=112455096232273230591&rtpof=true&sd=true   HRをキャリアにすると$161,608は本当か? 下記のリンクは2025年、カリフォルニア州Torrance、従業員規模34名、全産業のHR Managerの報酬調査結果です。8年の経験で$161,608。 弊社の顧問契約のお客様は主にHRの仕事をメインでされている方も多いですが、顧問契約を継続して力をつけ、HRのキ...